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都会は利便性を求め、絶えずその姿を変えている。 10年以上も通っている渋谷駅界隈の変貌ぶりは目覚ましい。 地元の人たちの一言なしには道を間違うことがしばしばだ。 いや、大都市では、通勤人こそ多いが、地元の人と出会うのは難しい。 一番、道案内に通じているのは消防署、交番だが、そこが容易に見つからない。
平成10年頃だっただろうか、京王井の頭線澁谷駅ホームで工事が始まり、乗降客は工事用の白幕の間を通らされたが、ある日、突然、駅全体が高さ100メートほどのマークシティと命名されたビルの中に取り込まれ、JR、地下鉄銀座線、東横線の渋谷駅改札へ行くのが便利になった。(写真左下は東棟、右下は西棟) マークシティビルは、25階建てと11階建ての2棟がある。 両方の棟を結ぶ通路があり、通路の両側にはカフェ、レストラン、ファーストフード店など飲食店や服飾・生活雑貨店が並び、通勤人には渋谷駅と道玄坂上までの距離が短縮され、便利になったのだが、ビル内で迷い、案内嬢や警備員に尋ねる人を多く見かける。 このビルの澁谷駅側の東棟の出入口は1階にあるが、道玄坂上側の西棟の出入口は4階にあるので、不慣れな人は自分の位置錯覚を起こしやすい。 こうなるのは、もともと渋谷駅一帯が、宮益坂、金王坂、道玄坂の急な坂を下りた谷底に位置するからだ。 他方、澁谷駅東口では、平成14年以来、駅前再開発工事が延々と続いている。 映画館、店舗、プラネタリウムなどが入っていた8階建て雑居ビル、東急文化会館は、平成15年から解体作業が始まり、現在、バス・ターミナルの地下を含め、地下街を建設中だ。 昨年、その地下の一角に副都心線の駅ができ、東武東上線、西武池袋線とが相互乗り入れ、それぞれ埼玉県の和光市、所沢市を結ぶ直通電車が走るようになった。 また、24年には、現在、東急ビルの2階にある東横線改札口がこの地下に移る予定といわれている。 澁谷駅を中心にどこも利便性追求の現代的ビルが街を埋め尽くしている中にあって、道玄坂上の交番を右に曲がり、50メートほど先のコンビニエンスストア横の路地に入ると、表通りの喧騒が急に消え、渋谷区内で最も小さな町、円山町に入る。 この一帯は、明治、大正を経て昭和の初めまで花街として栄えたところだが、今では、料亭の数もまばらで、現役の芸者さんは2人とか。 その一方で、迷路のような道玄坂のラブホテル街が円山町に押し寄せ30軒以上。 別の路地には、定食屋、カフェバー、赤提灯など、零細な飲食店がこれも30軒以上がところ狭しと並んでいる。 京王井の頭線が澁谷駅から地下を走り、踏切を過ぎるとまたトンネルに入ったところが神泉駅。 駅の付近には、掘立て小屋風の赤提灯の店と古い木造アパートが数軒。 駅から北へ200メートルほど細い道を行くと、周りの様子は円山町とはがらりと変わり、文化村通りの繁華街と高級住宅街の松濤町に通じる。 平成9年の今日、神泉駅すぐ近くの通りにある古い木造アパートの空き室で女性の絞殺死体が発見された。 間もなく、30歳のネパール国籍の飲食店員の男が逮捕されたが、この事件が一躍、人びとの好奇の目を集めたのは、捜査、裁判が進むうちに、被害者の39歳の独身女性は、一流私立大学の経済学部卒の年収1千万円クラスの東京電力本社企画調査室副長。 「入社してから無断欠勤は一度もなく、経済に詳しく、仕事ぶりも几帳面だった」、「毎日午後5時20分に定時退社していたはずが、帰宅は殆ど深夜だった」 などの証言。 事件の5年ほど前から、夜毎、渋谷・道玄坂のホテル街や神泉駅前の事件現場周辺で、その姿が目撃され、電話をしたり、街角に立っていたり、男性と街を歩く姿が目撃されていたこと。 事件の前年からは、当時、ホテトルと呼ばれたコールガール組織の風俗店にも登録し、休日には、毎回、4人の客を取っていたことなどの新事実が次々と明らかになったからだった。 下の写真は、被害女性が毎夜、立っていたといわれる道玄坂地蔵辺りと絞殺死体で発見された居酒屋の上の部屋。 昼間の一流企業の有望な管理職と夜ごとの娼婦というアンバランスな二重生活は、被害女性にとって一体何だったのだろうか。 金が目的ならば高給取りの彼女がなぜそれほどまで金銭に執着したのだろうか。 なぜ、売春の場所がホテルだけでなく老朽化したアパートの埃だらけの空室だったのだろうか。 売春が彼女の心の空洞を埋めるための強迫的な行動だったならば、その空洞は何から生まれたのだろうか、等々。 被告人は、無期懲役刑を言い渡されて裁判は終結したが、多くの謎を残したままの事件だった。
by dankkochiku
| 2009-03-19 23:46
| ぶらり、まち歩き
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Comments(16)
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cocomerita at 2009-03-20 17:20
Ciao dankkochikuさん
ローマもナポリも地下は網の目のように穴だらけ、遺跡だらけ ローマの地下ツアーもあるくらいですが、東京に地面の下も馬鹿にならないほど穴だらけでしょうねえ、、 便利になるのはいいかもしれませんが私はある意味不便でも昔のままが良かったなあと思うことしばしばです。 だから、このランドマークビルは通るたびに「けっ、しゃらくせえ」と斜に眺めてしまいます。 なんか「高級ぶってる」所が嘘っぽくて好きになれない。 私もこの事件、知っています。 その時に、何とも言えない彼女の淋しさが伝わってきたのを覚えています。 日本でもイタリアでもいまだに「売れ残り」イタリアでは、zitellaという発音の中にどこか蔑視の混ざった、要するに適齢期(いまだに適齢期というものが何なのかわかりませんが、)を過ぎてもパートナーのいない女性たちを指す名称があり、独りでいる女性たちや仕事のできると言われている女性たちをどこか遠目で見る、そのためそういう人々はどんどん孤独化していく傾向があるように感じます。 まあ、彼女らの性格にもよるとは思いますが、
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cocomerita at 2009-03-20 17:22
才女という会社でのイメージが重たかったのかなあと思うのは、
つづき、、、 この事件に彼女の淋しさを感じてしまうのは、 もしかして私もパートナーはいるものの、いまだに結婚をしておらず、する気もなくそういうことで、日本で「変わってる」「家族がいなくてかわいそう」という風に見られているだろうなあと感じることが時々あるからかもしれません。(苦笑)
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dankkochiku at 2009-03-20 21:11
Benvenuta,cocomerita! zitella という言葉も、そして、売れ残りという語感のことも初めて知りました。やはり、amore,amore mio のお国柄、うっかり使えませんね。 辞書を引いたら、vecchia zitella 意地悪婆さんとあり笑っちゃいました。 では、ponte vecchio は何だろう。古いのは悪いに通じるのだろうか? 言語マニアの虫が動きだします。
話を、東電OL殺人事件にもどしますと、この特異な事件のため、裁判廷を通じて彼女の日頃の行動から家族の経歴までも、一切合切オープンにされ、プライバシーが暴かれ、被害者の遺族でありながら世間の好奇の目にさらされたという二重の被害を受ける破目になったのは気の毒なことです。
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tomahawk_attack
at 2009-03-20 23:05
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起伏に富んだ街「渋谷」。坂が多く、それらには永年親しまれた名を多く見かけます。しかし最近では、それが災いし、「ゲリラ豪雨」などにより、駅周辺が一時的に冠水する騒ぎにもなっています。。
昔は待ち合わせプラス、映画館やプラネタリウム。紀伊国屋といった?ある種「文化的」利用の仕方が多かったものですが、今では、すっかり若年層らの溜まり場的存在と変わりました。そんな彼らは、基本的にお金を持っていませんから・・眺めても買うことは少なく、街としては、ゴミゴミしてる割には、景気への効果は差ほど期待できないとされています。 私などの年代では、渋谷は単なる通過地点に過ぎないと考える人が多いと思います。私も渋谷というと?以前は兎も角も、今では「東横のれん街」などを僅かに利用するのみです。そんな渋谷ですが、記憶に残る事件がありました。一昨年に起きた松濤の「シエスパ」爆発事故です。あれには驚きましたね。既にあれから2年近くが経とうとしていますが、今でも想像するだけで震えますね。。
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tomahawk_attack
at 2009-03-20 23:05
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それと一流企業に勤め、十分な収入がありながら、コールガールを続けていて、図らずも殺されてしまった女性・・・、金田一先生でも呼びたくなるような?謎めいた事件ですが、今なら「アラフォー」とされる世代の女性です。独り身で、十分な年収があり、物質的には満たされても、精神的には何故か満たされないものを感じていた・・・現代では、そういう女性も多くなっているのではないでしょうか。私には、ホスト通いする女性の心理とも似ているように感じられます。彼女も自分の中に秘めた満たされないものに対する吐け口として、コールガールを続けていた・・・私にはそんな風に感じられます。。。
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dankkochiku at 2009-03-21 17:28
渋谷センター街に川などありませんが、西武デパートのA館とB館の間の井の頭通りの地下には暗渠化された宇田川が流れ、山手線の下を通って渋谷川に合流し、その川の上を東急デパート東横館が建ち、玉川通りを横切ったところから、やっと汚れた渋谷川が顔を現わして流れていると分かり、驚きました。 こうなったのは、昭和29年の東京五輪開催による渋谷・代々木一帯の開発工事によるとか。 次回、五輪が東京に決まったら、もっと自然が失われるでしょう。
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yamanteg at 2009-03-22 11:56
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dankkochiku at 2009-03-22 22:51
加害者の強盗殺人事件よりも被害者女性に好奇の目が集中した事件でした。
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marquetry at 2009-03-23 15:32
彼女の存在価値がそこに有った...とか、....一流企業の管理職、仕事に熟れ、気持ちに余裕ができる頃、チヤホヤされる歳はとうに過ぎ、女として関心をもって貰えない年齢になっている...。世間で注目される事無く、慎ましく、真面目に生きて来た結果、独身だった彼女は、ボロアパートの中で男に抱かれている時間だけ、自分に輝きを感じたのではないだろうか?...心の隙間がそれで満たされたとは思えないが、つまらない日常の自分からは、解放された時間だったのでしょう...。
それにしても、事実とは言え、裁判などで公開された情報によって知らなかった一面を知るというのは、なんとも、やるせないでしょうね...。
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opengete at 2009-03-23 22:03
始めまして。
私のブログにお越しいただき有難うございます。 私もこの事件はとても興味深く忘れがたいものです。 東電の近くのホテルに泊ったときも思い出しました。 東電にお父さんも通勤していたと書いてあったような気がします。 結婚する機を逸してしまい、昼間の自分を忘れて本当の自分をさらけ出す場が欲しかったのではないでしょうか?
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dankkochiku at 2009-03-24 17:32
marquetry さん お金が主な動機ではなく、男に抱かれている時間だけ、自分に輝きを感じ、つまらない日常の自分から解放された時間だった、う~ん、女心は複雑ですねえ。
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dankkochiku at 2009-03-24 17:47
opengete さん 高学歴一家で、家族それぞれ社会的にも家庭的にも理想的な生活と、周囲からは羨望の的だったようです。 でも、傍から見るのと実像とは全く違った遣る瀬無い思い気持ちに苛まれていたのかも知れません。
dankkochikuさん、buon giorno
↑そういうわけで、私は東京五輪には大反対 大体あのサッカーのワールドカップでどんだけの亡霊スタジアムが日本中に増えたことか、それも自然を破壊するという犠牲のもとに 一過性でただのイベントにお金を使ったり前からあるものを壊したりする時代ではもうないと思うのです。 いまだにこんだけ変わってしまった渋谷にやるせなさを感じる一東京都民より。(笑)
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dankkochiku at 2009-03-27 00:41
Che vivace! Junko さん。 上のコメントをご覧になっていつもの闘志が湧いてきましたね。 これだけ開発しつくした大都市東京をまたほじくり返そうというのでしょうか。オリンピック招致でなにかひと儲けとでも?わたしも反対です。Anche io sono contro lui.これ自信のない伊語ですが、いいのかなあ。
Si,Si !! OK!!
Correttissimo ! Braaaavo !! Non mi piace Ishihra. E' troppo arrogante. 今、これだけでコメント残そうと思ったらば、英数だけではだめだと言われた。 不思議なブログの法則、、 じゃあ、これで送るね。
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dankkochiku at 2009-03-27 22:10
Grazie tante,Junkoさん。
そう!地位の高い人の高慢と偏見は、危険です。
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