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来年5月の裁判員制度導入を前に、今月15日、終身刑の早期創設を視野に国会議員連盟による 「量刑制度を考える超党派の会」(超党派の会)が発足した。 終身刑創設の目的や内容はまだ明らかでないが、第1回目の会合で、死刑を存続のまま仮釈放のない終身刑(重無期刑)を創設するか、死刑の代替刑として終身刑を創設するかについて、早くも与野党議員の間で意見が分かれていると報道されている。 現行の刑法では、無期刑を満期のない終身拘禁とする一方で、受刑者に悔悛の状態が認められるならば、10年経過後に仮釈放の可能性のあることが規定されている。 つまり、有期、無期の受刑者にかかわりなく、受刑者には仮釈放を申請する権利がなく、仮釈放が許可されなくても違法ではないが、本人の行状次第で、仮釈放し、社会復帰の可能性を残している制度だ。 両者の違いは、有期刑受刑者は刑の満了日まで拘禁できるが、刑期の3分の1を過ぎた時点で、一方、無期刑受刑者は刑に満期がないから、10年を経過した時点で、それぞれ仮釈放を許可できるか審査するという点だ。 したがって、超党派の会の言う仮釈放のない終身刑は、現行刑法の条文を改正しなくても、無期受刑者に仮釈放を許可しないこともできるし、服役後、例えば、30年、50年経過した後で仮釈放することもできる。 平成15年までの刑法では、有期刑の上限を20年まで加重することができたので、無期刑囚を20年以内で仮釈放にするのは、有期刑と無期刑とのバランスを崩すという考えから、平均21年から23年後に仮釈放を許可していた。 と言っても、20年数年を経過した無期刑囚が全員、仮釈放されていたわけではない。 ところが、平成16年に刑法が一部改正され、有期刑の上限を30年まで加重できるように重罰化したので、その後、それにともなって、仮釈放されるまでの服役期間も延長され、平成18年に仮釈放が許された無期刑囚は3人に過ぎず、その平均服役期間は25年1ヶ月、翌19年には31年10カ月になった。 無期刑囚が10数年で出所しているというのは根拠のない伝聞だ。 平成14年現在、無期受刑者中の服役期間を長い順に上位5人をあげると、50年以上の服役中のものが2人、47年以上が3人いる(平成14年5月31日付、衆院法務委員会会議録)。 つまり、超党派の会のいう終身刑も現行の無期刑も、刑法上の効果は同じであり、刑法を改正してまでして、仮釈放のない終身刑や仮釈放までの最短期間を変更しなくても、現行法の中で運用次第で十分可能なのだ。 こう考えてくると、来年から始まる裁判の新制度で、裁判員が死刑を決定しなくてはならないこともある精神的負担の軽減や国連をはじめ諸外国から廃止を求められている死刑の代替刑として終身刑の創設を考えているのかもしれない。 ところが仮釈放の可能性のない終身刑(絶対的終身刑)の制度のある国は、米国、オーストラリア、英国、中国など少数であるが、それらの国でも、恩赦や服役態度による刑の軽減措置が認められているから、実際に生涯拘禁される受刑者は、ごく例外ではなかろうか。 社会復帰の可能性を全く閉ざす終身刑の創設は、生涯、地下牢に幽閉していた近代以前の刑罰の復活であり、死刑よりも残虐な刑と考えられ、これを現行の無期刑と死刑との中間の刑とするにはとうてい承服できない。 わずかであっても、社会復帰の可能性を残すことによって、受刑者は絶望的にならず、また、受刑者に社会復帰のための教育的働きかけをする余地が生まれるのである。 その可能性を全く奪う自由刑であるならば、受刑者には、脱獄か自殺か無気力に過ごすかの自由しかなく、動物飼育と同様、人権を無視した処遇が行われる危険性があり、人道上、許されるべきでない。 平成18年10月20日に開かれた衆院法務委員会で石関貴史議員から提出された仮釈放のない終身刑の導入についての質問に対し、長瀬法務大臣が 「仮釈放が許されないということでありますから、一生拘禁されることになるわけで、そうなりますと、受刑者はその人格が完全に否定されるというか破壊されるという非常に非人道的だという考え方もあるわけで、刑事政策上どういうふうに考えるかというのは、非常に大きな問題だと思っております。」 と慎重な姿勢を示した。 近年、刑の重罰化、長期化の傾向を受けて無期刑囚の新入所者が増えている。 平成14年は75人(うち女性6人)だったのが、5年後の18年は136人(同12人)に増え、年末現在の在所者数も、14年の1,152人(同43人)から1,596人(同77人)へと4割近く増えている(矯正統計年報)。 無期刑囚の急増は、現在、刑務所現場で大きな問題になっている増加する高齢受刑者の処遇に一層、難問を加えることになる。 平成9年に入所した新受刑者のうち、65歳以上は3%にも満たなかったが、18年には、この年齢層の受刑者が5.7%(1,882人)を占め、なお増加傾向にあり、さらに刑期の長期化は、高齢受刑者の在所率の上昇化を招いている。 刑期の長期化と受刑者の高齢化は、当然、介護を必要とする受刑者の増加をもたらし、設備面、職員面でその対応に追い付かないのが現状である。 特に問題なのは、認知症や知的障害のある受刑者で、自分が受刑者の自覚がなく、刑務所にいるのかどうかも分らないような心神喪失状態の高齢受刑者が、今後とも増加の一途をたどることは間違いない。 刑事訴訟法には受刑者が 「心神喪失の状態に在るときは、. . . その状態が回復するまで執行を停止する」(480条)とあり、続いて 「前条の規定により刑の執行を停止した場合には、検察官は、刑の言渡しを受けた者を監護義務者又は地方公共団体の長に引き渡し、その他の適当な場所に入れさせなければならない」(481条)とある。 しかし、介護を必要とする高齢受刑者を引き受ける家族は皆無に近いし、病院、老人ホーム、民間の更生保護会も保護に難色を示す。 そこで、結局は、引き受け手のないまま無期刑囚を出すに出されず、40年、50年と刑務所に長居し続けているのが現状である。 彼らにとって刑務所が、実質上、特別養護老人ホーム化する可能性が年ごとに増大している。 その現実が最も早く現れるのが無期刑囚など長期刑囚たちを収容する施設だ。 凶悪犯への重罰を求める国民の声に応えて創設したはずの重無期刑務所が、気が付けば、高齢犯罪者福祉施設になっていた、といいう不条理なことにならなければよいのだが、. . .。
by dankkochiku
| 2008-05-27 21:22
| 非行・犯罪
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Comments(19)
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役人らの頭には、刑務所が行き場のない高齢者の「駆け込み寺」になったら?どないしよう?・・という発想はないのでしょうか?。。
私には、テイのいい生活保護への強訴という観も否めない。ウ~ム。。。
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凶悪犯罪の拡散を防止し、悪行の見せしめに長期間、自由を剥奪し、生涯を通じて罪を反省させる役目の刑務所が、気がつけば、衣食住を保証する安全で、しかも無料の老人介護の福祉施設になっていたなんて、チャップリンの喜劇を見ているようです。 では、てっとり早く、死刑にしてしまえと、明治6年には、961人も死刑執行しましたが、犯罪は減りませんでした。
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今はどこの刑務所も快適すぎるのが問題です。まるで★★★ホテルのようでは、居心地が良くて、居心地が良くて、また戻って来たくなるのも無理はありません。早く昔の網走刑務所の待遇に戻すべきですね。
半世紀以上も平和が続き、自由が満ち溢れると、自由の価値が下がり、自由を持て余し、自由剥奪刑上等とばかり、言われることだけをやっている方が気楽だとプリズンホテルに来たがる輩がいるようだ。こんな手合いが増えると刑事政策も考え直さなくてはなるまい。
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コーヒー牛乳などを万引したとして、身元不詳のまま常習累犯窃盗の罪に問われた男の初公判が30日、千葉地裁(石田寿一裁判官)であり、男は起訴事実を認め、検察側が懲役3年を求刑し即日結審した。男は最終意見陳述で「3年の求刑は短いですね。それだけです」と不満を漏らした。判決は6月6日。【ZAKZAK 2008/05/31】・・・・こういう人も現実に出て来ます。待遇の良すぎるのも?・・・ムムムですね。(v_v)
3月にJR荒川沖駅で無差別に8人殺傷の24歳男は「自殺するのは痛い。複数殺せば死刑になれる」と自殺願望が殺人の動機でした。
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終身刑の創設、この重無期刑と死刑制度の両者が存在することになっても犯罪は減少しないでしょう。 猟奇事件が頻発する昨今ですが、刑務所に服役する犯罪者の多くが窃盗や薬物の累犯が多いこと、歳を重ねての刑務所暮らし・・・もう行き場のない彼ら彼女らにとって安住の地が刑務所とは、高齢化社会の荒波が押し寄せており、それに対応する刑務所側の改築費用・医療費などは税金で賄われており、更に一生~娑婆に戻れない終身刑が制定されれば、更なる税金が投入され長期刑施設の高齢化対応が必要になること、戒護する職員の心身への負担が急増することでしょう、ですが犯罪者は、犯罪者です、犯した罪は刑務所に服役して償って貰わなくてはなりません。
本日、3回目の会合で、終身刑創設で大方の意見がまとまり、次期臨時国会での成立を目指すと報道されています。 ただ、この会の発起人の亀井議員が死刑廃止論者ですから、死刑を減らし、次は死刑制度廃止を目論んでしるのでは? 死刑存続賛成8割の世論に逆らわず、その一方で、昨年12月に国連総会で採択された死刑執行停止決議を受け入れるよう日本に求められたことにも配慮する、という日本的玉虫色的解決を狙った、いかにも議員立法案らしいですね。 いくら正義とはいえ、やはり、コスト・ベネフィットを無視した刑事政策は世論の反発を招くでしょう。
現行無期刑におけるこの10年という仮釈放条件期間は、「処遇の結果、誰もが認める真の改善更生に至ったのであれば、その期間で仮釈放が検討されることもありうる」というように希望を広く持たせるために幅を大きく取っているという面が大きいのであって、無期自由刑そのものの性格や現在における仮釈放の運用実態に鑑みるならば、仮釈放条件期間が現行法制上10年となっていることの一事をもって、死刑と現行無期刑の差を「殊更」に強調するのは適切でないと考えます。亀井氏にしても、なぜこうも、マスコミなどの煽りによって形成された世論にすりよるのか疑問でなりません。
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そもそも、無期自由刑それ自体は、ここであえていうまでもなく、受刑者を、ずっといつまでも永久的に終生拘禁することを内容とするものであり、仮釈放は刑法28条所定の条件期間を経過し、仮釈放規則所定の要件を満たした場合にはじめて適用されるものであるため、たとえば、精神障害者や、懲罰回数が多く優遇区分・制限区分の位が低い者、工場不出役・独居処遇中の者、高齢・老齢により養護処遇を受けている者、病弱の者、保護関係が良好でない者、犯罪傾向の非改善が自明であり再犯のおそれが強いとみなされている者などは仮釈放が認められず、その状況が改善されない限り、一生拘禁されるわけでありまして、管理人氏も指摘されているとおり、現在では、そうした者も決して少なくありません。こうした事実が広まれば、世論も変わるはずです。正しい事実を伝えた上での「世論調査」を法務省に実施してもらいたいものです。
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>彼らにとって刑務所が、実質上、特別養護老人ホーム化する可能性が年ごとに増大している。 その現実が最も早く現れるのが無期刑囚など長期刑囚たちを収容する施設だ。
おもしろい資料があります。 下記画像は「四国矯正」に掲載された6年前の徳島刑務所における高齢者処遇適用状況です http://image.blog.livedoor.jp/muki2007/imgs/f/2/f2ac4e03.jpg 高齢者処遇が適用された無期受刑者は刑務所が安住の地と言うのが現状です。 ![]()
法務省の速報値によると昨年(平成19年)は仮釈放者3人で新たな刑の仮釈放者は2004年と同じ1人だそうです。
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無期刑の判決が増えたのは、亀井氏ら死刑廃止論者が土本氏のような厳罰論者と口を揃えて現行無期刑を貶めるような言動を繰り返してきたため、裁判官の間でも誤解が広く蔓延し、有期懲役刑との本質的な違いに関する認識が薄れて言ったこともある程度影響しているのではないかとみています。
http://www.geocities.jp/y_20_06/wagakunino.html
後注も含め大幅改稿しました。是非読んでいただきたいです。 ![]()
こんな記事を見つけました
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ttp://obgy.typepad.jp/blog/2008/06/post-1341-58.html
入力忘れです
mukiさん コメントとHP読ませて頂きました。 政治家は、えてして、大向こうの喝采を得ること狙って議員立法を出したがるようです。 また、学者は、それを批判しながら、法案が通過すると黙ってしまったり、中には御用学者に変身し幅をきかします。 他人の文献と統計と法条文だけの学問ではない独自のものがなんと少ないいことでしょう!
tokumei さん D.Johnson 教授の記事。 ありがとうございました。 そちらのブログへご返事しました。 今後ともよろしく。
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