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今月、大阪拘置所の一看守が暴力団組長に便宜を図り、その見返りに家族旅行の代金や中古乗用車を譲り受けたとして逮捕されました。 またまた市民の信頼を裏切る行為に腹立たしい限りです。 「蟻の一穴、堤を崩す」 どころか、蟻の巣窟があちこちにあるようです。 と言いますのも、近年、暴力団関係者がらみの不祥事が繰り返えし起こっているからです。 平成14年には高松刑務所の看守による組関係受刑者の情報漏洩事件。 15年には千葉刑務所拘置場の看守が組関係者に携帯電話などを渡し、この携帯電話が別の未決収容者の家族からの現金詐欺に使われた事件。 17年には宮城刑務所の看守が組関係受刑者に酒、たばこ、菓子、携帯電話などを渡した事件。 これに続いて今度の事件報道です。 これらの事件を、1万7千人もいる刑務所職員の一部の者の非行と言って軽視することはできません。 最初のうちこそ、この程度のことと大目に見ていたことが、後になって大事件に発展した例が過去にいくつもあるからです。 戦後混乱期に起きた大規模な脱獄事件や暴動事件は別としても、世間を騒がせた事件としては、昭和38年の広島拘置所の規律びん乱事件。 同じ年の広島刑務所殺人事件(06年5月20日付け 「塀の中のトラブルメーカーたち」 参照)。 36年から41年まで続いた松山刑務所拘置場での規律びん乱事件などがあります。 いずれも最初は一人の刑務官が暴力団組員を誤信し、その策謀にはまったことに発して施設全体を巻き込む大事件に発展しました。 特に、松山事件では、一看守が、入所前から顔見知りの組関係の一被告人に頼まれた手紙を不正に投函して礼金を受け取ったことが発端でした。 これが、やがて施設の幹部職員を含む刑務官たちが収容中の組員たちから脅迫、暴行を受ける事態になりました。 組員らは所内の鍵を使って施設内を自由に歩き回り、喫煙、飲酒、花札賭博は日常茶飯事となり、他の被告人の領置金を脅し取っては差入れ屋から食品を購入し、さらに、女性被告人を強姦し、一看守も組員の仲介で女性被告人と関係を持つなど、拘置場全体が実質的に組関係者たちに支配され、係長2人が自殺するという悲惨な結末を招きました。 このような職員の不祥事を防止するのには、関係した職員の責任を問うだけならば、トカゲの尻尾切りに終わってしまいます。 暴力団組員などの無法な行動を予防する施設の構造や職員の組織や勤務体制を考えなくてはなりません。 暴力団関係収容者によって刑務官が篭絡される事件は、これまで刑務所よりも拘置所の方がずっと多く発生しています。 それは何故でしょうか。 一般に、未決収容者にとって最大の関心事は、当然のことながら裁判の経過と結果です。 なにしろ日本の裁判では、罰金刑を除いても無罪になる人の割合は0.1%以下で、年間、100人もおりません。 起訴され、勾留されますと、有罪判決を覚悟して、刑を少しでも軽くしようとします。 保釈が認められない問題のある被告人たちはなおさらです。 その中には、事件関係者たちと口裏合わせをして証拠隠しを図ったり、被害者に示談を強要したり、空々しい減刑嘆願書を書かせようとしたり、脅しをかけて不利な証言を思いとどまらようとする者も出てきます。 このような策謀を実行に移すのには、悪の組織をもつ組関係者たちが打ってつけの力を発揮できるのです。 未決収容者には、外部の人との面会や手紙の相手、度数に制限がありません。 しかし、面会時には立ち会い職員がおり、手紙は検閲を受けますので、うかつなことを話したり書いたりはできません。 そこで不正行為の協力者として、一日に何回も顔を合わせる舎房担当看守や各フロアーを一人で巡回する夜勤看守に狙いをつけます。 例えばこんな会話が交わされます。 「担当さん、役所からの帰りがけに手紙を1通だけポストに入れてもらえませんか。 急ぎの用件なので役所を通したのでは裁判に間に合わないので」 とか何とか口実を設けて丁重にお願いします。 たとえ好意からであっても、一度、これを引き受けますと、また依頼されます。 職員は自分の非に気付いて断りますと、途端に 「この前、担当さんがしたことは規律違反なんですよ。 上司の方に知れたら困りませんか。 それよりも私を助けて頂けるなら、それ相応のお礼を身内の者から十分にさせますから」 と迫ってきます。 正規の手続きを踏まずに職員に手紙の投函を依頼する不正連絡を 「ハト」、「鳩を飛ばす」 と言いますが、よく使われる手口です。 日ごろから上司に注意されていることなのですが、それでも昔からよく篭絡される手口です。 もし、複数の職員が常時、舎房担当者に配置されるならば、こうした危険性はかなり避けられるでしょう。 しかし、公務員削減の時勢に、刑務所ほど過剰収容状態にない拘置所での職員増員要求は一蹴されるでしょう。 拘置所は、刑務所とは違い、未決者同士の接触を避けるために、単独室収容が原則ですから、舎房担当職員と収容者との個別的な接触は日常的なことです。 中規模以上の施設では一つの舎房に30室以上の個室のほか、いくつかの雑居室があり、日中、そこには担当の刑務官が一人しかおりません。 担当は、舎房内の保安警備に当たる以外に、手紙の発受信、差入れ品の確認事務のほか、個人的な健康、心配事、そのたもろもろの相談を受けます。 こうした日常業務には、職員と被告人との一対一の接触は欠かせませんが、他面、これは、職員を篭絡しようとたくらむ者からの危険に常にさらされていることなのです。 裁判が長びき、収容期間が長くなりますと、自然、親和感が生まれ、規則通りに処遇するよりも円滑に能率的に業務を進めようとする気持ちが先立ちます。 自分の判断で規則を少し緩めたり、形式的なチェックに終わりがちになります。 その結果、「あの担当さんは、少しぐらいはいいと言っていた」 と言いがかりをつけられるようになります。 それが事実かどうかの確認もせずに、また、上司にはかることもせずに、それを黙認することで、規則自体があいまいになり、職員間での意思統一が崩れ、その間隙を突いて収容者は規則を緩めようとします。 収容者のほぼ全員が拘置所職員と同じ地域社会で生活してますので、入所する前から接触があったり、収容後に親しみが生まれやすいことは避けがたいのですが、職員にどの収容者が組関係者かの情報だけでも徹底させることで癒着の危険性を減らすことができるでしょう。 しかし、結局は、職員の職務意識の問題に帰着し、適時、上司から注意を喚起することが必要です。
by dankkochiku
| 2006-08-23 23:05
| 刑務所を考える
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Comments(5)
癒着。。。
多分。。今回も事の発端は職務を円滑に進めようとの?純粋なる動機から?始まったものと信じたい。それが何時のまにか?「ミイラ取りがミイラに?」ということなのか?。。。。 刑事が、ヤクザの動静を知る為の「情報源」との付き合いも?深みに嵌まり易いとされる。。肯定する訳ではないが、「持ちつ持たれつ」の世界は何処にでもある。。何処までを認めるか?内規でしっかりと決めて頂きたい。。。。 刑務所や拘置所の職員の合理化は、時節柄とは言え「勘弁して」欲しいものだ。。囚人管理の効率アップの為に、昔のように「牢名主」を置くのは?如何だろう?。。。。
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牢名主ですか~? 200年ほど前は制度としてありましたが、....。
マイカーと家族旅行で亭主の貫禄を見せようと無理した愚かな中年男、一敗地にまみれました。 ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
この手の汚職事件、往々にして舎房区の担当・夜勤職員が手を汚してしまい逮捕されること、1人で収監者・受刑者と接してしまう点が問題視されることから、ICタグやGPSを利用した職員の位置情報を把握する管理システムの導入が必要かも知れません? 一定時間を超え一箇所に留まっていると本部に巡回異常の警報と記録に残ることで、監督する立場の職員が巡回異常の警報を出した担当や夜勤職員に理由を尋ねるのです、篭絡や汚職に手を染めそうになっている職員は「相談事を聞いていた」と言い訳するかも知れません、同じ職員が同じ箇所での巡回異常の警報記録が何度も記録されていた場合、詳細な事情聴取を行うことで、汚職などの不正を防止できるかも知れません? この管理システムの欠点、時間の制約に追われて巡回が形式化する点、巡回時の収監者・受刑者の観察が難しくなる点、職員も常に機械で監視されていることへの精神的圧迫などによるストレスが増加する点などです。
GPSを利用した職員の位置情報の管理システム、警視庁で導入されております、事件発生での即時対応では一定の効果を上げていますが、見えないものに位置監視されている精神的圧迫を感じると・・・関係者が話していました。
被収容者ばかりか刑務官まで信用できない世の中で、機械を頼りにするとは、なんとも情けない話。 夜勤や舎房担当にロボットが当たっていたら、松山事件は起きなかったかも?
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