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阪急阪神ホテルズの食材偽装の発覚をきっかけに、全国各地のホテル、デパート、レストランなど700店以上がメニューに事実でない食材をのせていたと報じられている。 健康に悪影響なく、噛むのに苦労さえしなければ、ビフテキの食材など気にしない私だが、数個の牛肉を寄せ集め、結着剤を使って固めたものや、牛肉に牛脂を注入したものをメニューの上には、ビーフステーキと表示して長年、客に出し続けていたレストランがあったそうだ。 これらは、料理業界の常識になっていたのだろうか。 また、食材を偽装したとされる店の中には以前にも期限切れの牛乳を使った洋菓子を期限表示変えして販売していた問題店もあるとあって、有名店の評判の裏でのあくどい商法に世間の非難が集まるのは当然だ。
珍品、高級食材の使用を売り物にする店ほど、食材が急に入荷できない日もあるだろうに、正直に 「本日品切れ」 の日が続くと、店の名が損なわれるとでも思ったのだろうか、1日くらい黙って代替品で間に合わせても客には分かるまいと、多寡を括って、誤魔化せたことで疾しい気持ちが薄れ、むしろ儲けが増えると意を強くし、その後も止められず、幾年も続けてきたのではなかろうか。 今日もまた、神戸の老舗の酒造会社で、4,5年前から、醸造アルコールを混ぜた清酒を純米酒と表示したり、規格外の米を使った吟醸酒としたりしていたことが国税庁によって発覚した。 灘の偽一本か。 しかし、食材の誤魔化しは今に始まったことではない。 戦後15年が経った1960年に洋酒輸入が解禁になった当時、銀座のある高級バーがボトルの中身を詰め替え、ジョニ黒、ヘネシーなどとし、摘発されるまで偽物とは気付かない常連に飲ませていた。 飽食時代の2007年には、ある大手食品会社が牛のくず肉に豚や鶏のくず肉を合わせて挽いた冷凍の 「牛肉ミンチ」 が、20年以上も各地のスーパーなどの店頭に出回っていたのをはじめ、ある高級料亭では、10年以上にわたって、客の食べ残した料理の使いまわしを続けていたことや、また、伊勢神宮参りの人に土産物として人気のある老舗の菓子店では、30年以上にわたって、配達品の残り物や余り物を冷凍保存しては解凍し、包装用紙に製造日を付け替え販売していたことなどが次々に発覚し話題になった。 なお、この年には、一建築士が耐震強度を誤魔化した設計図をもとに完工したホテルやマンションが見つかった強度偽装事件や、社会保険庁では、過去の年金記録を、紙帳簿からコンピューターに転載する過程で、不明な記録を各職員が恣意で転記するずさんな管理から約5千万件の年金記録の信ぴょう性が疑われる問題が発覚したりして、その年末の 「今年の漢字」 には、「偽」 の文字が選ばれたが、今年の漢字もその手のものが選ばれるだろうか。 ところで、他方で、偽装食材でも、大手を振って世間で流通しているものもあるから不思議だ。 19世紀にフランスで植物性脂肪から作った人造バターは、堂々と 「マーガリン」 の商品名で世界中に販路を広げてきた。 日本では、別食材を混ぜた人工のイクラやネギトロが格安のスシネタとして出回っているのに、非難されないのは、偽装を売り物にして庶民の笑いを誘っているからだろう。 カニのむき身のようなカマボコ 「カニもどき」 や本来、鳥獣のひき肉が食材のはずのソーセージが、 「魚肉ソーセージ」 と名付けて戦前から売られ、今も庶民の食卓を飾っているではないか。 となると、本来の食材とは別物を使うのが問題なのではない。 今回、食材偽装問題の発端が、いずれも高級ホテル、一流レストラン、デパートなど老舗であり、各業界での名立たる経営者、シェフたちともあろう方々がその自尊心を失い、欲に眩んで悪魔に魂を売った恥ずべき行為を隠し続けてきたからだ。 テレビの前で平身低頭して見せたり、偽装食品の代金を顧客に返金したりで済む問題ではなく、ご本人たちの良心、人柄の問題であることだけは心してほしい。
by dankkochiku
| 2013-11-12 23:20
| 時評
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Comments(4)
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tomahawk_attack
at 2013-11-15 15:33
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「生きた魚を死んだように売り、死んだ魚を生きているように売る」・・・・
そんな「金魚売り」と「鰯売り」の売り声が落語の中に登場しますね。。 一心太助のいた江戸時代の話です。。 或る意味、これが「商い」の原点であり、その後、脈々と続く「行商の心得」みたいなものになってます。。 ところが時が移り世の中変わりまして、そのような心構えでは消費者が納得しません。何ごとにも誠実な商いが求められる時代であります。。 本来はそうでなくてはいけないのが当然でありますが、食品業界というのは元々小規模なものばかりですから、その辺に、まだまだ「甘えの構造」が残っているんでしょうねぇ。おそらく・・・・ ちなみに中国などの偽物商売が良く問題になりますが、あれも構造は同じであり、皆、かっての日本が通って来た道であります。。 意識を改めて貰わないといけませんね。困ったモンであります。。(v_v)
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dankkochiku at 2013-11-15 20:37
tomahawk_attackさん ネズミの肉を羊肉に偽装して販売していたとか、アヒルなどの卵を熟成させるピータンづくりに有害な工業用の硫酸銅を使い検挙された中国よりは、ずっとましですね。(笑い)
Ciao dankkochiku さん
人間って、、ほんとちゃち ですよね 美味しければいいんだから、私にはかにもどきと大手を振って歩いてる食品のがよっぽど素晴らしく見えます マーケティングの知恵が感じられるから まあ、これもそれも、消費者がブランドに尻尾をふり過ぎるからなんでしょうがね。 私、松阪牛なんて、ふにゃふにゃしてて美味しいと思ったことありませんもん、だからあえて求めない 、、、それとも、偽物食べたから美味しさわからなかったのかしら? いずれにせよ、情けない、騙す方も騙される方も、、苦笑
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dankkochiku at 2013-11-18 15:20
Ciao junko さん 飽食時代にグルメと自他ともに認められることを求める人の要求に応えようとする料理人といった構図の中から必然的に生まれたコメディですね。
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