カテゴリ
その他のジャンル
外部リンク
記事ランキング
画像一覧
|
東日本大地震、大津波から免れ、一見、平和な村が放射能汚染に包まれ、村びとは家に戻れず仮住まいを余儀なくされている。 その最中、いま、福島原発は破局的段階にある。
一昨年の12月、野田佳彦首相は、福島第一原発の原子炉は冷温停止状態を達成し、発電所の事故そのものは収束に至ったと 「事故収束宣言」 を行い、国民に 「ホントー?」 と思わせた。 それから1年9ヶ月後の今年9月、今度は、安倍晋三首相が2020年オリンピック大会開催地決 定のIOC総会席上、質問に答え、福島原発の 「汚染水の影響は港湾内の0.3平方キロで完全にブロックされている」 との発言に、またしても国民は首をかしげた。 今年4月以来、福島第一原発から高濃度の放射性汚染水を溜めている地上と地下タンク群から相次いで大量の汚染水が漏れ出し、地上を流れ、地中にしみ込み、原発施設地下を山から流れる1日当たり推定300トンの地下水に混って海へ流れ出ており、その地下水は止められない。 汚染水流出問題の深刻さは、1年以上も前から専門家らから指摘されており、いま、それが現実になった。 東電は、7月に観測井戸から高濃度の放射性汚染水が地下水とともに港湾内への流出を認め、8月には、地上タンクの継ぎ目から約300トンの汚染水が流出し10月には、汚染水を溜めている別の5基の地上タンクの一つから汚染水が溢れ出て、タンクを囲う堰の外へ流れ、近くの排水溝を通り、一部は港湾外の海に流れ出たと初めて発表した。 また、貯蔵タンク内の汚染水から放射性物質を除去するために導入された核種除去装置(ALPS)も9月に入って故障続きで中断し、その間にタンクから汚染水が漏れ出した。 政府は8月に、東電による汚染対策は破綻しているとして、470億円の国費を投入して対策に乗り出す基本方針を打ち出した。 このうち320億円で凍土遮水壁を造り、原子炉建屋を取り囲む形で地中に管を通し、氷点下数十度の冷却液を循環させて地盤を凍らせる計画だ。 しかし建屋を取り囲むほど大規模な凍土遮水壁は世界にも類例がなく、効果のほども不明だ。 いまのところ、さしあたり、港湾へ流れ出る放射能汚染水を毎日400トン汲み上げ、地上貯蔵タンクに移し、一つが満杯になれば新しいタンクに入れている。 しかし、原発敷地内には、いつまでもタンクを増設し続けられる空き地はない。 また、袋詰めした福島県内の汚染泥・ゴミは福島県内外に野積みしたままと最悪の事態が続き、国内だけなく周辺諸国にも不安を与えている。 韓国政府は、放射性汚染水漏れ事故によって国内で不安が高まっていることを理由に、避けられない措置として、9月9日から福島県周辺8県から淡水魚を含む水産物輸入を全面禁止すると発表した。 日本政府は 「汚染水の海への影響は第一原発の港湾内にとどまり、その範囲内の放射性物質は基準値を大幅に下回る数字」 と官房長官は、首相の考えを代弁し、韓国政府に撤回を求めた。 しかし、それは、汚染水が海水によって薄められて、基準値が下がっただけだろう。 大潮、高潮、台風でも港湾内には海水が入ってこないとでもいうのだろか。 2011年に、菅直人首相は、「脱原発」 を表明したが、民主党から自由党へ政権をとった安倍晋三首相は、電力の安定、低廉な供給というなかで 「できる限り原発依存を減らす」 と産業界からの原発再稼働の要請に押された歯切れの悪い答弁を繰り返している。 しかし、人の力で抑えきれない原子力に対して、原発の安全確保だけで、核の後始末までも考えない極めて危険な発言だ。 そんな流れの中、自民党の中ら反原発の声が上がった。 首相在任中は原発推進派だった小泉純一郎氏が今年8月、ドイツとフィンランドの原発施設視察後の今月1日に名古屋市内の講演会で 「今こそ原発をゼロにする方針を政府・自民党が出せば、世界に例のない循環型社会へ結束できる」 「経済界では大方が原発ゼロは無責任だと言うが、核のゴミの処分場のあてもないのに原発を進める方がよほど無責任だ」 「原発ほどコストのかかるものはないと多くの国民が理解している」 「捨て場所もないような原発を経済成長に必要だからとつくるより、同じ金を自然エネルギーに使って循環型社会をつくる方が建設的じゃないか」 と 「原発ゼロ」 推進へ力強いメッセージを発した(10月1日付け朝日新聞デジタル)。 菅義偉官房長官は、翌日の記者会見で 小泉元首相の発言を問題視しない考えを示したが、自民党の若手議員の中からも小泉発言に賛同する動きもあるとマスコミは報じている。 日ごと悪化する福島原発処理問題がいつ解消できるのか、福島の現実を直視し、ただ経済効果を当てに原発再稼働を夢見ることから覚め、原発ゼロへと与野党の知恵を結集すべき時ではなかろうか。
by dankkochiku
| 2013-10-06 21:21
| 時評
|
Comments(2)
Ciao dankkochikuさん
相変わらず、、小泉さん ご自分のプロパガンダの好機を逃しませんねえ 苦笑 それでもね、彼の思惑などどうでもよい 大事なのは、この地震大国である日本から1日も原発なくすことです 福島の現状、、悲惨極まりなく、ため息ももはや出ません
0
Commented
by
dankkochiku at 2013-10-07 10:06
Ciao junko さん 小泉元首相の発言が、起爆剤となり、自民党内に原発ゼロの勢力が増えるといいですね。 それにしても、国内では原発の新設は難しいとみた日本の大企業が海外での建設を目論んでいるエコノミックアニマル振りには、良心のかけらも見えません。
|
ファン申請 |
||