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広島、長崎原爆投下記念式典での両市長の平和宣言は、政府の核不拡散政策の姿勢に対し、これまでにない正鵠を得た厳しい批判が込められていた。
松井一実・広島市長は、「原爆は、非人道兵器の極みであり、絶対悪です」 と述べたうえで、今年、5月29日の安倍晋三首相とインドのシン首相との会談で、インドへの原発輸出に向けて、日印原子力協定の早期妥結に合意したことを取り上げ、「良好な経済関係の構築に役立つとしても、核兵器を廃絶する上では障害」 になりかねないと政府を批判した。 また、田上富久・長崎市長は、今年4月24日、スイス・ジュネーブで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議に提出された核兵器の非人道性を訴える共同声明に80カ国が賛同し、南アフリカなどの提案国が、わが国にも賛同の署名を求めたのに、「日本政府は署名せず、世界の期待を裏切った。‥ 核兵器の使用を状況によっては認めるという姿勢を日本政府は示した」 とし、日本政府に被爆国としての原点に返ることを求めた。 これに対して、広島、長崎での平和祈念式典で挨拶した安倍晋三首相は、「日本人は唯一、戦争による被爆国民であります。 そのような者として、我々には、確実に、『核兵器のない世界』 を実現していく責務があります」 と、例年、誰もが耳にするような言葉を述べ、昨年(12月4日)の国連総会本会議に過去最多の99か国の共同提案国を代表して我が国政府が提出した核軍縮決議案(「核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動」)が,「圧倒的な賛成多数(賛成174)で採決されました」 と胸を張った。 しかし、核廃絶に建前と本音を異にする首相の話が空々しく聞こえたのは私一人ではあるまい。 また、長崎原爆の日の8月9日に、長崎市で記者会見した安倍首相は、広島と長崎で被爆した8人の被爆者を原爆症と認めない国の処分の取り消しを命じた大阪地裁の判決について、大阪高裁への控訴を断念する方針を正式に表明した。 しかし、68年間、被爆の後遺症に苦しんできた市民に、今更ながら、その決定の遅いことのみが心に残った。 その折も折、8月7日、東京電力福島第一原発の建屋近くの地下水から高濃度の放射性物質が検出されている問題で、政府の原子力災害対策本部が、1日あたり推定300トンの地下水が放射性物質で汚染され、海に流出しているとの試算を明らかにした。 しかし、この事実は、今になってわかったことではあるまい。 東電は、原発事故から高度の放射性汚水がずっと漏れ続けてきた事実を国民から隠しきれなくなって認めたのだ。 1日当たり300トンとは恐るべき大量の汚水だ。 汚染水を地上のタンクや地下貯水槽にためるだけでは、すぐにでも貯水槽は満タンなり、そこからしみ出た放射性汚染水が地下水道へ、海へと流出し続けることは、最初から予想されていたはずだ。 また、これまで家屋や道路などの放射能汚染除去に使用した大量の汚染水の行方も市民には未だ知らされてはいない。 東電による放射能汚染水対策は破綻しており、政府は、国費を投入して対策に乗り出す方針を固めたと報じているが、高度の放射能が充満している原子炉建屋内に立ち入ることもできず、炉心の状態がどうなっているのか全く分からない状況下で、政府がその対策のための予算措置がとれても、原状回復が可能かどうかは全く不明だ。 1986年4月に起きたウクライナのチェルノブイリ原発事故から27年たった今も、廃炉作業の見通しが立たず、内部は手つかずのままだが、その二度舞いになるおそれ多分にある。 原子力規制委員会は、これまで、現在稼働停止中の原発再稼働の可否について耐震安全性を重視してきたが、同時に、福島第1原発のような重大な事故発生時の対策についての審査基準も加えるべきだろう。 福島原発事故発生後3年が過ぎたが、状況は、一向に好転する見通しなく、むしろ悪化の一途を辿っているさなか、経済優先に目を奪われ、原発推進、輸出を進めようとする政府の無神経さ無責任さには、政権担当者の良心が麻痺していると思わざるを得ない。 ☆ 猛暑の続くこの夏の間は、ブログの更新を休むつもりにしていしたが、ここにきて、国の将来が分れる岐路に直面し、安閑としていられない気持から再開しました。
by dankkochiku
| 2013-08-10 22:10
| 時評
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Comments(3)
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tomahawk_attack at 2013-08-11 22:37
dankkochikuさん、残暑お見舞い申し上げます。。
立秋も過ぎ、例年なら少しずつ秋風も吹こうという今日この頃でありますが、今年は暑いですねぇ。それも半端ない暑さ、どうもこの傾向、世界的なことみたいですねぇ。化石燃料を燃やし続けている為に異常気象が常態化してしまってるようであります。。 我が家でも、これまでは出来る限り「節電」に努めて来たところでありますが、この暑さとなり、流石にもう呑気なことを言っておられる段階ではないと悟りました。誠に申し訳なきことながら今年の節電は即刻中止であります。。 この猛暑が一段落するまでは熱中症にならないことだけを最優先に掲げ、家族の居る各部屋は、思いっ切りエアコンをブン回すように指示してます。。 正直言いますと、原油価格が世界的に高騰している時世でありますので、暑い夏を乗り切る為の必要経費とはいえ、電気代が幾らになるのか気掛かりでなりませんが、家族の命と健康を最優先に耐えるしかありません。。(+_+。)
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tomahawk_attack at 2013-08-11 22:37
幸いにして、この時期は多くの企業が夏休みシーズンに入ってますので相対的な電力需要という点では幾分余裕が出ているかもしれませんが、猛暑の行方如何によっては、再び電力の逼迫も予想されるところでありまして、暫くは総供給量と総需要量との間でギリギリの綱渡りが続くものと思われますね。。
想像を絶する猛暑が炸裂しているこの時期に、万万が一にもニューヨーク大停電のような事態となれば、この日本は大パニックとなり暴動すら起きるかもしれません。。 電力の恩恵を受けて生まれ育った世代からすれば?もはや電力が失われた中での生活など?想像すらも出来ません。。 ましてやこの猛暑です。都会では熱中症により死人が続出するかもしれません。考えただけでも身震いしますね。。 普段は改めて考える機会もなかった「電力」でありますが、失われて初めて気付く存在感・・・・ 電力って親と同じ位に大切なものなのだと、恥ずかしながら最近になって気付いた次第であります。。(ーー;)
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dankkochiku at 2013-08-12 16:24
tomahawk_attack さん 暑いですねー。 この夏は、世界各地が気温40度を超える記録的な猛暑に見舞われ、熱中症による死者が相次でいます。その中、ガソリン代の4年10カ月ぶりの高値、交通事故死の13年ぶりの増加、振り込め詐欺被害最悪‥、そんな中でも、福島第一原発建屋付近の地下水へ高濃度放射性物質が1日300トン流れ、海に流出とのニュースほど深刻なものはありません
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