カテゴリ
その他のジャンル
外部リンク
記事ランキング
画像一覧
|
日本でストーカー行為(stalking)を処罰する法律ができたきっかけは、1999年(平成11)10月、埼玉県のJR高崎線桶川駅前で通学途中の21歳の女子大生が殺害された事件だった。 この殺人事件が起こる前、加害者からの執拗な脅しを受けた女子大生とその家族が地元警察に告訴したのに民事介入として放置されていた最中のことだった。 更に、事件後になって、告訴状が警察によって改ざんされていたことも発覚し、市民の警察への信頼が失墜した。
この忌まわしい事件と、それに対する警察の不適切な対応を教訓に、それまでは、芸能人らへの熱狂的ファンの 「追っかけ」 「つきまとい」 など、精々、迷惑行為、軽犯罪くらいにしか扱われてこなかった行為が、つきまとわれた人に常時、恐怖感を与え、相手から暴力的支配を受けることが少なくないことが分かり、やっとストーカー行為を処罰できる一方で、警察には被害者への援助措置を定める法律が生まれたのだ。 その結果、ストーカーの被害者が、次々と警察へ届け出るようになり、その実態も次第に明らかになった。 法律施行(2000年11月24日)からその年末までの1カ月ほどの間に2,280件の被害届けが受理され、その翌年には14,662件、2012年は、前年比36.3%増の19,920件と法施行後最多となった。 また、警告または接近禁止命令などを受けたストーカーの数も、それぞれ、2,284人、69人に上っている(警察庁統計)。 ところで、ストーカーというと男性が女性にまとわりつくケースが普通だが、中には、女性が女性にストーカー行為をする例もある。 日本では、2001年3月、奈良県で38歳の主婦が31歳の主婦宅に無言電話を5年間に5千回以上掛け続けていた。 「好感をもっていたのに向こうは付き合わなくなったので、憎しみが湧いた」 というのが動機だった。 ストーカー行為規制法によってストーカー行為が増えたのか、減ったのかは不明だが、法施行後も、時どきストーカーによる暴力犯罪が止まない。 2011年(平成23)、千葉県で23歳の女性が同居中の27歳の男からの暴力と女性の所在を確認する携帯電話が絶えずかかってくるなどのストーカー行為の被害に会い、長崎の女性の実家が長崎県警に被害届けを出し、同時に、女性の住む千葉県警と男の実家のある三重県警へも捜査を依頼したが、両県警は実効的な手を講じず、同年12月、通報されたことを知って憤慨した男が、長崎県西海市の女性の実家に侵入し、女性の母親と祖母が殺害する事件が発生した。 この時も、千葉県警は、家族からの事件発生前の告訴状の提出を遅らせようとした。 理由は、事件担当職員を含む職員の北海道慰安旅行を控えていたからだった。 また、2012年11月には、ストーカー被害を警察に相談していた神奈川県逗子市の女性が脅迫罪で執行猶予中の33歳の男に殺害され、また、今年6月には、岡山県倉敷市で24歳の女性が警察に相談していたのに、25歳のストーカー男に刺され重傷を負う事件も発生した。 通信技術の進歩とともにストーカー行為の方法も巧妙、執拗になり、これに対応する規制法の一部改正法が今月24日に国会で成立し、「付きまとい行為」 に電子メールを繰り返し送信する行為」が付き加えられた。 また、保護の対象を、同居の交際相手からの暴力やデートレイプなど交際相手からの暴行も処罰の対象としたほか、取り締まり側には、警告や禁止命令を出す権限を被害者の住所地の警察や公安委員会だけでなく加害者の住所地や被害を受けた地域にも拡大できるようにしたり、また、警察が警告を出した場合には、速やかにその旨を被害者に伝え、警告しなかった際は、その理由を書面で通知することを義務付けたりする条文などが加えられた。 これらは法律制定当時、予想していなかった新しい手口に対応するための一歩前進だが、「早足で行く現実を、法律は這って追いかける」 の譬えの感がしないでもない。 米国では、インターネットなどオンライン通信を使って相手を脅したり、無理やりに言い寄ったりする 「サイバーストーキング」 が問題化しており、日本でも 「チャットルーム」 「フェイスブック」 など交流サイトを通じて得られたプライバシー情報がストーカー達に悪用される例が次第に増えている。 また、7月参院選の選挙活動にインターネットの利用が認められるようになったが、これもまた、個人が個人を標的にしたこれまでのストーカー行為から、特定の候補者、政党、更には特定の団体、企業、個人などに対して組織的な嫌がらせ、脅迫、誹謗を流し、風評被害を煽り立てる 「集団ストーカー」(gang stalking)を招く危険性も見逃せず、その対策も間もなく取らざるを得なくなる日も近いことだろう。
by dankkochiku
| 2013-06-29 23:26
| 時評
|
Comments(5)
Commented
by
tomahawk_attack
at 2013-06-30 16:34
x
ストーカー被害、・・・・悲惨な事件が増えました。。
なんで今はこうなっちゃうのでしょうかねぇ。それこそ私の親父の時代は「嫌よ嫌よも好きのうち」とか、「押しの一手」などと言われる時代だったようですが、私の時代には、そうした「プッシュプッシュ」は影を潜め、むしろ「場数」でこなす時代になってました。。 今振り返っても、あの頃は「ナンパ」が普通だった時代でした。今なら「チャラ男」と言われるところかもしれませんが、街で女の子に声かけたり、女子高の学園祭で友達を作るのに精を出したもんであります。。 そこで知り合った娘をコアにして、そこから更に友達を紹介してもらったり、グループ交際を始めたりと、次々に友達の輪を広げるなどして、その延長で個々の「カップル」が次々に誕生してたように思います。。
0
Commented
by
tomahawk_attack
at 2013-06-30 16:34
x
当時、私も山ほどフラれましたが、場数を積むうちに多少の上達もしますから、最後は全員彼女がいましたね。だもんで今のように一人の女性を執拗に追いかけ回すようなストーカーはいませんでした。そんなことをしたら友達のみんなからバカにされましたものね。。
「エジソンは電球を発明するまで一万回失敗した」とされますし、たかだか10人や20人にフラれたくらいで落ち込むことなどないんです。そもそも女と付き合うのに恥ずかしがってるようじゃ話にもなりませんしねぇ。そう考えると今の時代はシャイが増えたんでしょうかねぇ、そのこと自体は良いことでもあり、悪いことでもあり・・・・と、悩ましいところでありますが・・・・(――;)
Commented
by
dankkochiku at 2013-07-02 09:04
tomahawk_attack さん 中央アジアの国、キルギスでは、若い女性を連れ去り、強引に結婚させる「誘拐婚」のニュースが昨日でていました。 ストーカーの強引さとも似ていますが、ストーカーと同居した女性が暴力を振るわれるのとは違うようです。
Ciao dankkochikuさん
ストーカーって、やっぱり現代病みたいなきがします 要するに、現実を受け入れ、現実と折り合いをつけることができない、源は単なるわがまま。なんじゃあないですかね コンビニが林立し、ネット扱いは24時間オープン なんでも、すぐに自分の思いのままに手にはいる。と変な癖がついてるのではないかと、、 警察ももっと職務に忠実になってほしいですね 働かない月給泥棒の公務員多すぎます
Commented
by
dankkochiku at 2013-07-03 16:20
Ciao junko さん 加害者は、元交際相手、職場関係者、学校・近隣の顔見知りなど、多くは面識のある者だけに、その相手の付きまとい、監視、無言または連続電話に連日連夜、さらされ、不安と恐怖に怯え、心身ともに参ってしまします。 とても被害者一人ではどうにもなりません。
|
ファン申請 |
||