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昨年、石原都知事が安定的財源確保のためにお台場(臨海副都心)にカジノの誘致に言及した。 これに刺激され、全国の自治体、政党でも観光振興、雇用創生などを目的にカジノ合法化の動きが活発化し、先月には、観光立国を目指す超党派の 「国際観光産業振興議員連盟(通称・カジノ議連)」 の総会で、秋の臨時国会に議員立法での法案提出を目指すことが決議され、早くも経済界ではカジノ関連株が急騰した。
カジノと言えば、ラスベガス、モンテカルロ、マカオなどの豪華絢爛な賭博場が上流階層の優雅な紳士淑女で賑わい、大金が舞う様子が頭に浮かぶ。 しかし、その反面、賭博であることに変わりなく、日本では、合法的な風俗営業を隠れ蓑にした暴力関係者たちのヤミ賭博を摘発したら、警察官もその一味、といった暗いイメージも拭い切れない。 賭博は、自分の意思で、自分の金銭を賭け、偶然性で勝負が決まるのを承知の上で参加し、それ以外の第三者には被害を及ぼさない、いわゆる 「被害者のいない犯罪」 だ。 したがって、賭博は犯罪だといっても、人倫に反する程の犯罪ともいえず、刑法では、前科のある常習賭博者や営利目的で賭博場主催者側と客とが一緒になって賭博をするのではなく、一時的娯楽として現金や物を賭ける程度ならば犯罪にならないし、度が過ぎても、単純賭博ならば、罰金、科料ですむ軽い犯罪だから、いっそのこと、賭博は犯罪から外すべきだという主張は以前からあった。 これに対して刑法学者らは、賭博の魅力に取りつかれると、健全な経済感覚も労働意欲も失い、そのモトを得るために借金を重ね、返済に行き詰ると、窃盗、横領、強盗など他の犯罪を誘発する危険性が大きいことを上げ、賭博罪の非犯罪化に反対する。 そういえば、2年ほど前に、創業家の御曹司の会社経営者がカジノ賭博にはまり、負けては元を取り戻そうと数百万円の借金から10億円以上もの借金を度々子会社に支払わせた揚句、借入総額は165億円に上り、背任罪で懲役4年の実刑を受けた大王製紙事件があったから、あながち刑法学者らの余計なお節介とも言えない。 しかし、街に林立する民間のゲームセンターや国・地方自治体が経営する競馬、競輪、競艇の人気は、一向に衰えない。 これらは実質的には賭博だが、賭博罪に触れないように、例えば、中央競馬会法では 「競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため」、自転車競技法では 「自転車その他の機械工業の振興、体育、社会福祉などの公益の増進、地方財政の健全化」 と、それぞれもっともらしい目的を掲げ、有用性をアピールし、大規模施設を建設し、市民の射幸心を煽り、勝者投票券販売からあがる巨額な収入の大部分を払戻金として、それ以外は、事業の経営費や国、地方自治体の財源に当て、ほんの一部を教育、福祉行政の助成金に配分しながらも安定的利益を上げている。 その一方で、街を歩くと、午前中の開店前のゲームセンターや場外馬券場のまわりにできる人の列は、どう見ても、ゆとりのある生活者たちとは見えない。 また、いささか過激の感もしないではないが、兵庫県小野市議会では、生活保護費や児童扶養手当の受給者にはパチンコなどでの浪費を禁じる条例の成立が報道されたように、合法的賭博とはいえ、これらの企業は、多くの零細生活者の生血を吸って生きているようにも見える。 猪瀬都知事が先程、都議会で、「カジノはある意味ではいいことだらけ、日本にカジノがないのは不自然などと述べ、カジノ合法化の議員立法を国会議員に求めるよう、各党都議に要請した」 と報道された(3月13日付NSN 産経ニュース)。 「ある意味」 が何を意味するのかは分からないが、国内外の金持ち相手のゲームセンターでガッポリ稼ごうとでも考えているのだろうか。 現在、この国が置かれている内外多難の時期に、こんな問題にうつつを抜かし、もろ手を挙げてカジノ合法化賛成とは、とても言えないのが今の気持ちだ。
by dankkochiku
| 2013-05-05 11:29
| 時評
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Comments(8)
Ciao dankkochikuさん
やれやれ、、今度は賭博の勧めですか、、 カジノと言ったら聞こえはよいが、、 ヤクザと政治家 薄紙一枚の差もなし
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dankkochiku at 2013-05-06 09:45
Ciao junko さん 副知事当時は目立たなかったのが、現知事になったら、とんでもないことを言うお人です。オリンピックが駄目なら、カジノで行くか、とエコノミック・アニマルに変身したようだ。
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tomahawk_attack
at 2013-05-07 14:12
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賭博というと、兎角、良いイメージがなく、日本では「公営ギャンブル」に一部認められているのみであります。。
しかし広義で考えると「株式」や「証券」にしても、ギャンブル、もしくは、それに属するものでありまして、常に元本割れのリスクが付きまとう、限りなくギャンブルそのものであります。同様にして宝くじやロトにしても同じであります。。 それらは皆、国家の意図により「賭博」と思わせないような巧妙な「印象捜査」により色分けされているだけのことでありまして、実質的には包装紙が違うだけで中身はほぼ一緒なのです。。 庶民の娯楽とされるパチンコにしてもそうです、大半の人が換金を目的に楽しんでますし、賭けマージャンや賭けゴルフにしても、一般的になり過ぎて、今では半ば黙認状態です。。 現代は「ストレス社会」と言われ続けていますが、実のところ昔だってそうでした。そこから生じる反社会的な芽を摘む国家的意図により「賭博」や「祭り」が奨励された時代もあったのです。一種の「ガス抜き」に利用されてた訳ですね。。
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tomahawk_attack
at 2013-05-07 14:12
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賭博が悪いとされる主な所以は「射幸心」を煽り過ぎる点にあろうかと思います。賭博に依存し過ぎて生活破綻に至るのを防ぐという意味合いがあるのかもしれませんが、日本では「アル中患者」を防ごうと「アルコールの販売」を禁止する手段は取ってません。ドラックにしても、合法物?は、つい最近まで黙認状態でした。。
「賭博の利益が闇社会に還流するからダメだ」と指摘される方もおられますが、今のヤクザは経済ヤクザです。株式や証券を自在に駆使して稼ぎ捲くってます。それを思えば「賭博」だけを禁止しても、私はムリだと思いますね。。 私的には、昔あった「島原の出島」のような?外国人専用の「カジノランド」を創設してはどうかと思ってるものでして、それにより日本の魅力が更に高まるのであれば?決して悪い話ではないと思っています。。 ただ、日本人向けとしては、まだ時期尚早かもしれませんねぇ。もう少し流れをジックリ見たいと思います。。(v_v)
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dankkochiku at 2013-05-08 08:35
tomahawk_attack さん カジノによる観光、雇用、公共工事、教育・福祉行政などへの波及効果をどれくらいと見積もっているのでしょうか。
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tomahawk_attack at 2013-05-08 23:45
大阪市長の橋下さんのお説によれば、・・・・
3,000億円超の事業投資(初期投資)を以て、年間2,000億円程度の経済効果が見込まれるとの試算をなされてるようであります。。 仮に話し半分と割り引いて聞いても、年間1000億円は可能かもしれません。断定は出来ませんが・・・(v_v) 昔から賭博の胴元が損する話など、私的にも聞いたことがありませんし、これらを「机上の空論」と決めつけるには無理を感じます。。 勿論、直ぐに償還するのはムリでしょうが、少なくとも事業に伴う諸々の経済効果、雇用効果を考えたら従来型の新幹線や空港などを作る公共事業なとより、遥かに投資費用が安くて経済効果の高い公共事業と言えるのではないでしょうか・・・・ それも、外国人向けの「専用エリア」として設置し、日本に来られる外国人観光客らへの「タックスフリーゾーン」も備えた日本初の経済特区にすれば、インパクトも更に高まり、投資に見合う経済効果は絶大だと思います。。
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tomahawk_attack at 2013-05-08 23:45
その上で、・・・・日本人向けにも同様なものを作るか否か?・・・・については、その成果を良く良く見定めた上で、慎重に考えれば良いことであります。。
恐る恐るやってみたら、案外「食わず嫌い」だった?などと気付くこともあるかもしれませんし、始めから「何もかも全てダメだ」と押さえつけるよりも、まずは皆で良く研究し、それをオープンの場で議論することから始めるべきだと私は思います。。 議論を尽くす過程で、世論が盛り上がり、機が熟せば、自然と落ち着くところに落ち着くでありましょうし、国民が時期尚早であると考えたなら、その時は自然消滅的に「流会」になるハズであります。。 でありますから、国民自身が良く考え、そして自らの意思で「必要か否か」を決めれば良いのであります。それを見定める手段として、私は選挙というこれ以上ない公平な場で良く討論したら良いと思います。その上で・・・・判断を有権者らに委ねる・・・・それが健全な方法です。。 それこそが民主主義の持つ優れた合理性だと、私は考えます。。。\_(-_- 彡
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dankkochiku at 2013-05-09 09:58
tomahawk_attack さん 折り返しコメント頂きありがとうございます。 カジノの合法化、誘致に私が消極的なのは、それ自体の良し悪しではなく、現在、国際的には中国、韓国、北朝鮮との関係緊張、国内では原発事故処理、災害地域復興など、全力を挙げ、早急に、解決しなければ、必ず日本に禍根を残す問題が山積する中にあって、未来志向、大局的にとかと言い逃れし、一方では円安、株高で浮き立たせ、国難ともいえる現況から国民の目を逸らせようとし、他方で、閣僚の靖国参拝に象徴されるように、愛国心を示そうと(本音は票田確保でしょうが)、国民感情を煽りたて、憲法改正し、再軍備へ道筋をつけようとするファシズムの気配を危惧します。 それを考えれば、カジノどころではないのでは?
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