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異常気象で先月中頃まで夏日が続いていたのが嘘のように冷たい長雨の日々。 それでも、枝にたわわに熟した柿畑を見ると、矢張り秋を実感する。 秋晴れの日が待ち遠しい。 練馬というと練馬大根を連想する人が多いが、それは昭和20年代までのタクアン農家のことで、いまは、大根は、キャベツ、ブロッコリーに次ぐ第3位の生産量で、かつてのような練馬大根一色の畑はほとんどなくなり、代ってブルーベリーやビニールハウス栽培のイチゴなど市民の食の変化に対応した小規模・多種の野菜、果実作り農家が増えてきた。 (上の写真。 手前から大根、白菜、里芋) こんな練馬の農業の変遷を伝えるものとして、春日町を通る環8道路と豊島園通りに近いビルと住宅のある街に不似合いな 「練馬大根碑」 が立っている。 練馬大根といっても、もとは徳川5代将軍綱吉が尾張から種を取り寄せ、練馬村の百姓に作らせてきた大根だった。 これを明治に入って、たくあん用の大根に品種改良し、さらに大根の転換作物としてキャベツなどの洋野菜の栽培も進めたのが練馬村の農業、鹿島安太郎氏(明治16年-昭和40年)で、その功労を称え、昭和16年に建てられたこの 「練馬大根碑」 には、川西実三・東京府知事直筆の鹿島氏を称える言葉が書かれている。 この石碑のある真言宗・愛染院の入口参道を通って、山門を入ると、たくあん大根産地の練馬を象徴するかのように沢庵石を積み重ねて礎石にした鐘楼があり、元禄14年(1701)鋳造の梵鐘が架かっている。 一方、大根畑に代って昭和30年代以後、キャベツ畑は広がり続け、今では、区内農地の約37%を占め、都内一の生産量を上げている。 そのキャベツ作り農家の労に報いるために平成10年、石神井町に 「甘藍の碑」 ができた。 ただ、石材に凝り過ぎたのか、交差点の車の動きが絶えず反射し、肝心の文字が読みにくいのが難だ。 以前にも紹介したが、練馬区の農地面積は、東京23区内で最も広く、第2位の世田谷区の農地の2倍もあるが、平成17年12月現在、農地は練馬区全体の7%のほどで、区のホームページによると、その後も農業人口は年々減り続け、専業農家は農家全体のわずか2%で、世帯員中に1人以上の兼業従事者がいて農業収入が全収入の50%以下の農家(第2種兼業農家) が96%を占めている。 そのうえ、農業従事者の高齢化が進み、農地の宅地化や駐車場化が目立つ。 練馬区は、農家への雇用、ボランティア派遣を目的に、10年ほど前から農作業ヘルパー養成研修を行ってきたり、農家の作業負担軽減と市場価格に左右されない安定した収入を目的とする農業経営として、一般市民を対象に農業体験農園を増やしたりしてきた。 しかし、平成20年度は5年前よりも農地が約42ヘクタールも減ったとあって、農地と住宅地の混在地域が目立ち、農業衰退の波を止めるには焼け石に水のようだ。 その一方で、緑の多い静かな環境が好まれ、不況とはいえ、一戸建て住宅建設は続き、しかも居住面積水準未満の世帯率は東京23区では最も低い。 また、厚労省の統計では、区内の男性の平均寿命は81歳を超え、全国第5位、23区内で第1位のほか、駅周辺を除けば犯罪率も低く、道路整備は遅れているとはいえ、まだ住み心地の良い地域だ。
by dankkochiku
| 2010-11-01 22:25
| ぶらり、まち歩き
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Comments(11)
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marquetry at 2010-11-02 12:38
未だに減反政策が続いているんですよね...。ましてや、農家の補助金を受ける為には、減反政策に参加してないと受けられないとか...。TPPが始まったら、どうなっていくんでしょうね〜段取りの悪い政府ですから、後先何も対応策ないまますすみそうな気がして、かなり心配です。...特に農家さんは。
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dankkochiku at 2010-11-02 20:42
marquetry さん 大都市周辺農家では、専業農家は僅かで、しかも農業従事者の高齢化、後継者不在などから都市化が進み、減反政策の問題は起きないでしょう。 ただ、日本のTPP参加により関税撤廃をすれば、、現在の農家には死活問題かもしれませんが、土地農業から天候、自然災害の影響のない農業工場化へ向かえばどうでしょうか。
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tomahawk_attack
at 2010-11-02 22:59
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TPP・・・ただでさえ「三ちゃん農業」といわれる日本の農業。そこに新たな苦しみを背負わせて、はたして耐えられる農家がどれくらいあるのか?・・・机上で考えたレベルで行動すれば、きっと失敗します。。
一方、工業立国に根差した日本ではありますが、今後はTPPに加盟する、しないに関わらず、企業の生産部門が、益々海外へシフトする流れは・・どの道、避け難い流れと感じられます。。 にも拘らず、GATTに続き、またしても工業優先で農業を置き去りにするならば、日本農業は、もう二度と立ち上がれないでしょう。取り返しのつかないものを感じさせます。。 marquetryさんの弁じゃないですが、段取りの悪い民主党政府のこと。・・・またしても良く考えずに突っ走るのでは?・・・と、私的にも大変心配しております。。 TPPに踏み込むか、踏み込まぬか・・・何れの結論を出すにせよ。国会にて、与野党とも良く議論し、決して浮足立つことなく、慎重に結論を出してもらいたい・・・そう願っています。些か文脈とズレてしまいました。申し訳ありません。・・・m(_ _)m
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tomahawk_attack
at 2010-11-03 08:33
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文脈に沿ったコメントを添えます。。
>沢庵石を積み重ねて礎石にした鐘楼・・・経費節減の意味合いも兼ねてのことでしょうが、“味”がありますね。沢庵漬け所縁の地らしい風情です。。 私も、若いころは沢庵を良く食べましたが、最近は殆ど食べません。奥さんが手にかぶれが出来るとかで作らなくなりました。。 大根は、生でも、煮込んでも美味しく、消化も良く、昔ほど辛みもありませんから、今では千切りにしてサラダにしても、みそ汁に入れても、とても美味しいです。。 特に、これからの季節、「ふろふき大根」や「おでん」が美味しいですね。。\_(-_- 彡
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dankkochiku at 2010-11-03 20:49
tomahawk_attack さん ご丁重なコメント有難うございます。
まず、TPP参加是非の問題。 農産物の関税撤廃は、消費者には安く入手できるメリットはあっても、食品の安全は保証できるのか、輸出国からの安定輸入は保てるのか、打撃を受けた農家への巨額の補償は財政を圧迫しないのか、安定した自給率をどう確保するのか、零細企業並みの農家に世界貿易競争力をどう付けるか、問題は山積しています。 次に、昔、タクアンは庶民の必需品みたいで、軍隊が大のお得意先でした。 もっとも、そんな米飯中心の低カロリーでは戦に勝てるわけがありませんし、また、塩分取り過ぎで高血圧症患者続出と気付き、いまでは敬遠され、タクアン用の練馬大根栽培も採算が合わず、作らなくなりました。
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igu-kun at 2010-11-04 22:48
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dankkochiku at 2010-11-05 10:07
igu-kun さん 都市化、宅地化が進んでいる中、まだ緑が多く、igu-kunらしい新発見をお待ちします。
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marquetry at 2010-11-05 17:31
昔の人達は、皆、科学者だった!と言っていい程、自然を上手く利用してきたと思います。農家さんはその最たるところ...日本の農家が優れているのは、研究熱心だったから...と感じます。いま、日本は、農家に限らず、ものつくりの人達を失おうとしています...TPPが逆にこの人達を育てるきっかけになる...なんてことになればいいのですが、借金だらけの母体では外資に飲み込まれ政府ごと消えそう...。
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dankkochiku at 2010-11-06 09:55
marquetry さん 国土の狭いこの国では、田ごとの月などと風流なことを言っていられないほど、狭隘な山地を人力で耕す農夫を見るにつけ、その労働過重と自然災害への無防備さと非生産性は、遥か昔から基本的には変わりなく続いています。こんな、農業の体制を抜本的に変える必要性を常々、感じています。
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桜花
at 2010-12-01 00:20
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ご無沙汰しております、「練馬大根」の由来は意外でした。 今回の大河ドラマ「龍馬伝」では・・・悪役!?であった「新選組」の副長「土方歳三」の大好物が~"沢庵漬け"でした。
近年の練馬区にある「豊島園」には、天然温泉のスパリゾートの娯楽施設が建てられて、東京近郊での田園風景が様変わりする感があります。
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dankkochiku at 2010-12-01 13:13
桜花さん 本文に書き忘れていたことを思い出しました。 それは、練馬大根の名が日本中に知れ渡った影には、昔は、一般国民の食生活が貧しく、米飯中心の食事には塩分の多いタクアンが好まれたこと、さらに、軍隊が食料としてタクワンを大量に買い上げていたことで、兵士の弁当には、必ずと言ってよいほど、梅干し、タクアンが付き物だったからだと何かで読んだことがありました。 しかし、それが、高血圧、低栄養の要因にもなりました。 大事なこと思い出させて頂き、有難うございました。
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