カテゴリ
その他のジャンル
外部リンク
記事ランキング
画像一覧
|
池袋駅東口を新宿方向へ15分ほど歩き、明治通りからそれると、すぐ静かな町並みの雑司ヶ谷に入る。 古木が茂るひっそりとした一方通行道路に八百屋、酒屋、花屋、履物屋など個人店が並ぶ騒音と縁のない別世界だ。 その道を行くと鬼子母神堂裏口に出る。 「えっ! 鬼子の母がどうして神様?」 子どもの頃、よくそう思ったご本尊だ。 法明寺のホームページによると、インドの夜叉神の娘で、嫁いで多くの子供を産んだが、その凶暴な性格から、近隣の幼児をとって食べるので、人々から恐れ憎まれていたのを、お釈迦様に戒められ、過ちを悟り、帰依し、一転して安産・子育の神となって、人々に尊崇されるようになったという。 そこで、ここにある鬼子母神像は、鬼形ではなく、幼児を抱いた菩薩の形をしており、下の写真のように、角(つの)のつかない鬼の字を用い、「雑司ヶ谷鬼子母神」 と尊称しているとのこと。 善男善女時代の仏教説話集、日本霊異記の世界だ。 ![]() ところで、この地域が雑司ヶ谷と 「谷」 がつくいわれは、目白台地の端にある鬼子母神堂から下り坂となり、池袋に近付くと上り坂になる豊島台地との間の谷間に当たるからだ。 都電荒川線の鬼子母神駅から雑司ヶ谷駅までのひと駅間の線路の起伏を見るとよく分かる(下の写真)。 ![]() 戦前は、現在のようにこの谷間が家で埋め尽くされておらず、家族連れでやってくる見晴らしのいい一面の野原で、その先に巣鴨監獄(現サンシャインシティビル)が見えたのをおぼえている。 巣鴨監獄は、安政の不平等条約撤廃に向け、外国人も拘禁できる国際的監獄を目指して、明治28年に建てた二階建て洋式の監獄で、当時は、日本銀行、小石川砲兵工廠とともに東京の三大建築といわれたものだった。 鬼子母神堂の直ぐ脇の道を下り、線路沿いに緩い坂道を上った先に11万5千平米の雑司ヶ谷霊園がある。 雑司ヶ谷霊園とはいうが行政区画上は南池袋である。 江戸将軍家の御座所だったところを明治のはじめ、墓所を持たない東京を故郷とする市民のために、共同墓地として造営、拡張し、今では、南池袋地区の7割を占める広い霊園だ。 霊園に眠る著名人の紹介パンフレットを管理事務所でもらい、名士の墓所巡りを始めたが、見つけるのに一苦労し、どうにか、夏目漱石、竹久夢二、小泉八雲、ジョン万次郎こと中浜万次郎(下の写真)の墓までは行き着けた。 太平洋で遭難した14歳の漁師、万次郎は、米国で教育を受け、帰国後、幕臣になり、開成学校教授となった功績で正5位の叙勲を受けている。 このほか、画家の東郷青児、新劇の島村抱月など知名人の墓もある。 ![]() また、一般にはほとんど知られていないが、霊園の一角に明治21年以来、法務省墓地がある。 東京拘置所、府中刑務所、小菅刑務所、中野刑務所とその前身の東京集治監、巣鴨監獄、市谷監獄、豊多摩監獄の時代から、身寄りのない獄死者の遺骨5千体以上を納めた納骨堂、慰霊碑、地蔵尊があり、生花が供えられていた。 雑司ヶ谷霊園から国道5号に出た途端、高速道高架橋と高層ビルに区切られた空の狭さに都会の索漠さを感じながら帰途についた。
by dankkochiku
| 2009-04-22 10:38
| ぶらり、まち歩き
|
Comments(12)
鬼子母神ですか...天子(吉祥天?)の母でもあるんですよね...日本って?仏教って、つくづくすごいですね...鬼まで善神になるんですから...。って、もともと日本の鬼は、極悪だけじゃないですもんね...世界の、全知全能の神と悪魔より、日本の鬼神達はものすごく人間っぽいですよね...。まるで、本当にお隣に暮してたかの様に、いろんな鬼神のお話が残ってますものね...ん〜聞く所によると、片手に吉祥果?(=ザクロ?)を持っているとか...直に見てみたいですぅ角の無い菩薩顔の鬼子母神♪(興味津々)。
0
人に害を及ぼす鬼は、他方、鬼瓦となって悪魔を追い払う象徴になり、天才と並んで鬼才の人と敬われる。 鬼は外、と言わない風潮もあります。 日本人の多神教の世界は、善と悪とにしか分けられない一神教の世界よりも国民の心情に合っているようですね。
鬼子母神というと?・・・映画「男はつらいよ!」に出て来るフーテンの寅さんの口上イメージから・・どうしても「恐れ入谷の鬼子母神神」の方が先に来てしまいますねぇ。雑司ヶ谷にも「鬼子母神堂」が有るとは?ついぞ知りませんでした。。(^^ゞ
ちなみに我が家ですが、子育て・安産の祈願には、日本橋蛎殻にある「水天宮」さまをお参りしておりました。。 それと、文中で気付いたのですが、雑司ヶ谷霊園の中に、文豪「小泉八雲」氏の墓があるとか?・・・私は、てっきり島根に有るものとばっかり思ってましたが、晩年は東京に暮らしておられたんですねぇ。。┐(´ー`)┌
小泉八雲というと、すぐ松江を連想しますが、そこには、1年くらいの生活で、一番長く住んでいた場所は東京で、そこで帰化し、子供が生まれ、死去しているのですね、 コメントを頂き調べて、私も初めて知りました。
Ciao dankkochikuさん
お久しぶりです。 日本に行っていました。 dankkochikuさんのブログを見てると、知らないけど、だけど私の好きな匂いの東京がいっぱいで、なんだかもうないと思っていたものを見つけ出させてもらったみたいで嬉しくなります。 この電車も素敵だなあ―― 今度行ったらこっちの方にものんびり足を延ばしてみたいと思います。 鬼子母神の話も目からうろこ、おもしろい!! で、敢えて角をつけない鬼の字を使ってるとこなんざ、粋ですね~~ こういう日本が大好きです。 Grazie!!
Yamanteg さん 受刑者は家の不名誉と、その遺体の引き取りも拒否する家族が少なくありませんので、刑務所のある各県にはそのための無縁墓地を確保してあるのが普通です。
Ciao Junko さん 日伊を股に掛け、神出鬼没ですね。 鬼子母神のような話は、古代ギリシャ神話にはありそうですが、キリスト教徒にとっては奇奇怪怪では?
長い間ご無沙汰でした。またよろしくお願いします。
時々更新していきますので、たまには来訪ください。 鬼子母神の鬼の字やっぱり改心したんですね。釈迦に説教され 角がとれたとか。 でも、ちゃんと鬼に見えるんですね。
bravenさん、ほんとにお久しぶり、お越し頂きありがとうございます。
鬼の文字に角があっても、なくても鬼と日本人には読めるのに、日本語に習熟していない人には、何の字だか分からない。 心理学の視知覚の実験で使う文脈効果を巧く利用したのでしょう。 この種の造語の広告文は増えましたね。
入谷の鬼子母神には、難病などの子供を抱える母親が回復祈願で参拝すると聞いたことがあります、子供にかかる様々なことで祈願する母親も参拝するらしいです。
「小泉八雲」と「島村抱月」と島根県に関係する方の名前がありましたので・・・、小泉八雲は松江中学の後、熊本中学に赴任して元会津藩公用方だった教頭の「秋月悌次郎」と接して「神のような人だった」と述懐しています。 島村抱月は、現在の島根県浜田市金城の出身、歌曲「カチューシャ」で有名な御仁です、その島村抱月は・・・かの「スペイン風邪」と言われるパンデミックのインフルエンザで亡くなりました(合掌)、現代ではパンデミックとなる危険性が高い「豚インフルエンザ」にて全世界が大変となる様相となりつつあります。
豚インフルエンザ、遂に、日本にも上陸しましたね。 国際化、グロバル化社会の時代、エンデミックという言葉も、やがて死語になるかも。 鎖国政策国家が一番安心だなんて、お笑いにもなりません。
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||