カテゴリ
その他のジャンル
外部リンク
記事ランキング
画像一覧
|
東京の下町には、山手、郊外にない江戸の庶民文化が一杯詰まっている。 そんな場所の一つが、浅草のお酉様。 今年は、11月の5,17,29日の3回あり、昨日、3の酉に行ってきた。 祭りは、江戸時代に始まり、関東大震災の年も、第二次大戦中も戦後混乱期も欠かすことなく開き続けてきたし、その当日は、1日中、つまり、午前0時から午後24時までやっているとのことで、江戸っ子の心意気を肌に感じる。 都バス 「竜泉」 停で下りれば、もうそこには、金魚すくい、べっ甲あめ、お好み焼き、かるめ焼きなどの屋台が軒を並べて続き、それを見ながら2分も歩けば誰でも 「鷲(おおとり)神社」 と 「長国寺」 へと案内される。 鷲神社と長国寺の酉の市の曰く因縁の説明は、少し違うが、それは、それぞれのホームページに任せるとして、縁起物の熊手を競って売っている市の間を行けば本殿、本堂に着く。 信仰厚いキリスト教やイスラム教徒の人びとからは到底、理解できない風景だろうが、これは、日本人の宗教に対する大らかさとか、宗派宗教に対する無関心さとか、現世的なご利益信仰とか、そんなしち面倒な話は宗教学者に任せよう。 とにかく、続々と集まってくる善男善女たちは、神様と仏様が隣同士で境がなく、一度に両方のお恵みにあずかれ、帰りにはお酉様限定のお札、熊手など土産物を持って帰るのを楽しみに、地元の人はもちろん、都内、近県各地から続々と集まってくる。 入口前の通りから境内いたるところにガードマンが多数立って、雑踏整理に当た入り、入口の鳥居には、神主さん2人が特設台の上から参詣者の人波に、盛んにお祓いをしている。 酉の市の縁起物の熊手を売る店は、数百件もあるという。 「酉の市で縁起物を買う風潮は、関東地方特有の年中行事」 とウィキペディアにあったが、ほんとうかなーと思いながら、熊手屋さんの間を歩いていると、あちこちから、大ぶりの熊手を買ったお客に 「家内安全、商売繁盛」 と男女の店員全員が威勢良い掛け声とともに手締めをし、客は意気揚々、高く掲げて帰っていく。 幸せを掻っ込むとの熊手商人の方は儲けが上がればホクホクだろうが、果たしてどうだろう。 浅草の遊郭街、吉原で育った樋口一葉は、熊手作りに家族が精を出している様子を 「たけくらべ」 の中で面白可笑しく描いている。 「~一家内これにかかりてそれは何ぞと問ふに、知らずや霜月酉の日例の神社に欲深様のかつぎ給ふこれぞ熊手の下ごしらへといふ、正月門松とりすつるよりかかりて、新年着(はるぎ)の支度もこれをば当てぞかし、南無や大鳥大明神、買ふ人にさへ大福をあたえ給へば製造もとの我等万倍の利益をと人ごとに言ふめれど、さりとは思ひのほかなるもの、このあたりに大長者のうわさも聞かざりき~」 ところで、常連客は心得ているだろうが、熊手の値段は、売り手と買い手のやり取りの楽しみを味わいながら商談成立というのがしきたりだ。 ところが、初めての客にはいくら縁起物といっても、値札がついていないので、いくら吹っかけられるかと怖気づいて見るだけ、という人も少なくない。 そこで、今年は、値札を付けている店があると数日前の新聞記事にあったので、注意して歩いていたら一軒だけ見つけた。 この店の売れ行きはどうだったのだろうか。 来年からが楽しみだ。
by dankkochiku
| 2008-11-30 13:00
| ぶらり、まち歩き
|
Comments(14)
Ciao dankkochikuさん
ぁあ、、こういう下町の慣習大好きです。 情緒があっていいですよね~~ 熊手、これで幸せもお金も掻きとる。 掻き取るぞ~~~ 町民の生きるパワーが伝わってくるんですもん。 なんにせよ、熱を持って生きてる人々は好きです。(笑)
0
Commented
by
dankkochiku at 2008-12-01 11:31
Ciao Junko さん ご存じかもしれませんが、近年、少し長く逗留したい若い外国人観光客に江戸文化一杯の浅草、上野が受け、簡易宿泊所をプチ・ホテル風に改装した日本式宿に安く泊まり、見物するだけでなく、寿司、煎餅作り、神輿担ぎの体験などに人気があります。
(笑)知りませんでした。
私も参加したい。
Commented
by
yamanteg at 2008-12-02 20:46
熊手の縁起、招き猫に似ていますね。
日本のお祭り、縁日、盆、正月、・・・・・ やっぱ、見に来てもらう運動でしょうね。 (禁止されているキーワードあり、=何だろう?片っぱしから修正sてみたら、ほとんど内容がなくなった)
Commented
by
yamanteg at 2008-12-02 20:55
Commented
by
dankkochiku at 2008-12-02 23:57
yamanteg さん えっ! なんのことでしょう? ブログが削られているのですか? 当方異状ありません。 ウィルスか? 奇奇怪怪。
Commented
by
tomahawk_attack
at 2008-12-03 14:34
x
この時期になると季節の風物詩としてメディアに良く登場する酉の市・・・鷲神社さんは、以前の仕事の関係で、近くは良く通りましたが、まだお寄りしたことはありません。暫く行ってなかったので懐かしく感じ、早速Googleのストリートビューを使い近況を確認しました。相変わらずビルの谷間は変わりませんね。。ヘ(^^ヘ)
それにしても、多くの福にあやかりたいとする気持ちは誰しも一緒。来年は一段と厳しさも増しそうです。熊手は庶民の願いに答えることが出来るでしょうか。ちなみに私ですが、熊手は地元の神社で、初詣の折りに購入することと決めてます。。(^^ゞ
Commented
by
yamanteg at 2008-12-03 20:24
多神教の(一種無宗教の)日本文化について、キリスト教中心の西欧人やイスラム教や中華共産独裁教?(これも狂信教の一種?)に代表される一神教の国の人々には理解できない面もあるだろうけど、
アメリカ一極集中が崩壊した21世紀は、ある意味では日本の雑多・柔軟な文化・考え方を世界に広め、知らしめるチャンス・時期と考えます。 (このようなことを言いたかったのだが、これでキーワード引っ掛かかるかどうか、試しに再度投稿します、お騒がせして申し訳ありません。)
Commented
by
dankkochiku at 2008-12-03 20:46
tomahawk_attack さん 「熊手は庶民の願いに答えることが出来るでしょうか。」 出来ますよ!
さんざん値切って買った満足感。 値切った額をお祝儀に渡して、ちょっと金持ちになった気分になれる優越感。 お祝儀をありがたく頂戴する店員に笑顔を与えた幸福感。 人ごみの中を5万円もするような大熊手を高々と担ぎながら家路につく高揚感。 これらは、みんな熊手が引き寄せてくれた粋な幸福でしょ。 江戸っ子って見栄っ張りだからなー。
Commented
by
dankkochiku at 2008-12-03 20:56
yamanteg さん 御覧の通り、ちゃんと届いていますよ。 オウムのような禍が絶えず起こっている地域に比べて、八百万の神々を信仰する文化に生まれ育った日本人は、平和愛好民族と言えるのではないでしょうか
Commented
by
cocomerita at 2008-12-03 21:07
Ciao dankkochikuさんそしてyamantegさん 同感です。
一人の神によって、ほぼ独占的、独裁的に見守られる、って言うか、仕切られよりも、どんなものにもちっちゃな神様が宿っているという多神教のほうが、全てのものに対するリスペクトが生まれると思います。 だから、ヨーロッパでは、一人の神様に見つからなければ、その一人の神の逆鱗に触れさえしなければ何をやってもいいという風潮があるし、、それよりは、一寸の虫にも五分の魂みたいな考え方の方が人にやさしい。 だから、ここ十年以上も欧米で東洋の宗教がブームになっているのだと思います。
Commented
by
dankkochiku at 2008-12-03 21:47
D'accordo! cocomerita さん 日本人の信じる宗教は?と問われたら、自然宗教あるいは日本教と答えるしかないでしょう。 そんな文化の中で生きてきた日本人にとって、廃仏棄釈の国家神道とか、自分の宗派以外は邪教視して排斥する宗教は、心情には合わないようです。
Commented
by
marquetry at 2008-12-04 15:02
賛成です....沢山の神々が存在し、良い神も、悪い神も、仏様も、あってよいと、思いますぅ。ついでに、妖精や妖怪も居てもおかしくないでしょう...(個人的)。日本の神様って、昔話なんかに出てくるのは、全智万能の神じゃなく、もっと人間っぽいですよね....。得手不得手や失敗があったりして....貧乏神なんて、何のために存在しているのか、よくわからないありがた迷惑な神までいるし...はは。でも、そこが、どっても気に入ってます。
ちなみに、人足よせば...の記事が出てすぐ、コメント書き込みしようとした時、私も2日間、『禁止ワードに引っかかっています...云々...書き込みできません』のテロップが出て、書き込みできませんでした...。特に変わった言葉を使った記憶は無いんですがね....。 勉強になりますっていう一言だけでも、拒否されましたし、コメント数もゼロのままだったり4人になったり、見れなかったりと、動作がおかしかったです...。Macを使ってると、結構色んな事あるんで、また、Macだから...かなっと思っていましたが、他の方にも起きていたなんて...なんだか、ウレシ...(自分だけの誤作動じゃなくて)。
Commented
by
dankkochiku at 2008-12-04 21:25
marquetry さん 日本の神々は、それぞれ役割分担があって、全知全能でないところが、人間的で親しみを覚えます。 多神教だった古代ギリシャ、ローマの文化を受け継いだ西欧人がどうして、一神教のキリスト教になったのだろうか。 「千と千尋の神隠し」がオスカー賞を取ったというのは、何故だろうか。 こんな疑問が次々に浮かんできます。
ところで、「禁止ワード」の件、こちらには出てきませんが、この頃、エキサイトのブログ、画像が出るのが遅かったり、ID・URLの拒否設定をしてあるのに迷惑コメントが来たり、編集で文章を訂正しても中々送信できなかったりで困っています。
|
ファン申請 |
||