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今年上半期の犯罪統計(1~7月暫定値)が警察庁から発表された。刑法犯認知件数は最近11年連続して減り、今年の上半期もその流れが続いているようだ。
ただ、刑法犯認知件数が減少しているのは、主に、刑法犯全体のおよそ75%を占める窃盗事件が前年同期よりも3万9千件以上減ったのが影響しているからで、罪種別では、どの犯罪も一様に減っているわけでない。詐欺事件は、前年同期より12.7%増加している。これは、振り込め詐欺など特殊詐欺事件が、14.4%多い6,167件とこれまでの最高値を超え、それが詐欺事件の全体数を押し上げているからだ。 治安情勢を反映する犯罪統計とは別に、一般社会人が漠然と感じている治安、つまり「体感治安」がある。体感治安の特徴は、犯罪統計の結果から治安の良し悪しを推測するのとは違い、もっぱら治安にたいする一般市民の不安感の多寡に根ざしているから、統計のように犯罪の量を数字では示せない。 平成24年7月に内閣府政府広報室が全国20歳以上の日本国籍を持つ3千人を対象に実施した「治安に関する特別世論調査」結果によると、「日本は安全・安心な国と思う」との回答が回答者全体の59.7%を占めていたのに、「最近の治安は悪くなったと思う」との回答は、81.1%と大多数を占めていた。これは、最近、10年間以上、刑法犯が減り続け、平成15年と比較し、一般刑法犯が半減している犯罪統計結果とは大きな隔たりがある。 また、「不安を感じる犯罪」は何かの質問には、「空き巣などの住宅などに侵入して物を盗む犯罪」との回答者が51%と過半数を占め、次いで、「すり、ひったくり」などの犯罪」が49.4%だ。他方、犯罪統計では、窃盗手口の過半数を占めるのは、空き巣狙いのような「侵入盗」ではなく、「非侵入盗」であり、その上位を占めているのは、「万引き」、「車上狙い」、「置き引き」で、「すり」、「ひったくり」犯人は少数派だ。 犯罪統計の結果と全く異なる「体感治安」が流布する背景には、マスコミの報道姿勢、警察の防犯活動、近隣で発生した犯罪についての地域住民たちの噂話などがある。マスコミ社にとってニュースバリューのあるのは、特異な犯罪であって、万引きなどの日常的犯罪ではない。衝撃的犯罪には、一般人は関心を持ち、不安感を与えるだけでなく、模倣犯罪を招くこともよくあることだ。 一方、「体感治安」は、客観的事実に基づかない市民の噂話に過ぎないとしても、それが治安悪化を増すというよりは、むしろ治安悪化の不安から、施錠の確認、夜道の一人歩き注意、集団登下校など防犯対策を増すことで地域住民の連帯意識を強め、犯罪防止に役立つことの方が多い。新宿・繁華街は、統計上からも確かに犯罪が多い場所だが、プライバシー侵害を理由とした反対論を押し切って、都内で最初に街頭カメラ50台設置したのは、事実以上に地域の治安悪化不安をもった地域住民から警察署、区役所、都庁への働きかけがあったからで、その治安悪化防止効果はてきめんだった。 しかし、体感治安に防犯効果があっても、体感治安を煽る情報操作は、いたずらに市民の不安をかき立て、治安当局への不信感を増すので差し控えねばならないのは当然のことだ。
by dankkochiku
| 2014-08-25 20:48
| 非行・犯罪
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Comments(2)
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tomahawk_attack
at 2014-09-04 13:24
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犯罪といっても、どこまでを数字に組み入れるか?で結果は大きく異なります。単に数値が減っているとされるだけでは庶民の意識とは離れてしまうでありましょう。。
ちなみに、ニュースからの受け売りになりますが、振り込め詐欺の金額などは今年も過去最高を更新してるとか?、、、、 この辺をどう捉えるかで印象も大きく変わるような気がします。。\_(-_- 彡
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dankkochiku at 2014-09-05 10:01
tomahawk_attackさん 客観的数字で示される統計は、間違いないと思うと、とんでもない事件が防犯に当たる警察で最近起きました。ご存知のように、大阪府警が2008~12年の5年間に、自転車盗など計8万1307件を犯罪統計に計上せず、犯罪を少なく見せかける組織的不正処理をしていたことが発覚しました。 水増しの動機は、10年間連続して街頭犯罪ワーストの大阪府で、当時の橋下知事が汚名返上を呼びかけたのが府警には圧力となったからでしたが、同時に犯罪認知件数を減らして、検挙件数を事実通りにしておけば、統計上、検挙率は上がります。この手は、以前、千葉県警でもしていましたから、珍しくない不正かもしれませんが、警察統計を信用して記載する、日本統計年鑑や犯罪白書には致命的なことです。
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