カテゴリ
その他のジャンル
外部リンク
記事ランキング
画像一覧
|
内閣府は今月9日、2013年4~6月期の国内総生産(GDP)の改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期(1~3月期)比0.9%増、この状況が1年続いた場合の年率換算では3.8%増となり、8月発表の速報値から大幅に上方修正されたと発表した。
家計消費の伸びは、実質GDPの成長の牽引役といわれている。 9月19日に日銀が発表した家計調査によると、家計が保有する金融資産(現金、預金、投資信託、株式など)残高は、6月末時点で、前年比5%増の1590兆円で過去2番目、6年ぶりの高水準にあり、中でも、家計や企業が保有する現金・預金が保有資産の過半を占め、前年比2.0%増の860兆円と過去最高を更新したという。 そのほか、日経平均株価も昨年11月の8,600円台から今月は14,000円台に高騰。 雇用情勢は、総務省が7月の完全失業率は3.8%で2か月連続低下と発表。 厚生労働省も同月の有効求人倍率は、5カ月連続上昇の0.94%と発表と、いずれも経況は好転しているようだ。 9月に実施した世論調査では、経済成長を公約する安倍政権の支持率が59%(NHK)から70.3%(TBS)の間で高いのも、回答者が景気の好転を評価したからだろう。 しかし、その一方で、景気を実感できないという市民の声も多い。 その声はどこから聞こえてくるのだろうか。 「2013年版労働経済白書」 によると、一家の所得が単身世帯で200万円未満または2人以上の世帯で300万円未満の低所得世帯は、337万世帯と厚労省は推計しており、その世帯主など稼ぎ手が非正規雇用労働者(非正規従業員という)の世帯が2010年時点で約150万人もいる。 非正規従業員の内訳を2012年についてみると、パートが888万人(49.0%)、アルバイトが353万人(19.5%)、労働者派遣事業所の社員が90万人(5.0%)、契約社員・嘱託が354万人(19.5%)、その他128万人(7.1%)とその態様は様々だ。 また、総務省統計局の 「労働力調査(2013年4~6月期)」 では、役員を除く雇用者のうち、正規従業員は、3,317万人(前年同期より53万人減少)に対して、非正規従業員は1,881万人(前年同期比106万人増加)で、雇用者全体の36.2%を占め、この比率は過去最高だ。 非正規従業員は、正規従業員と同じ職場で同レベルの労働に従事しても、賃金面では、個人の能力ではなく、就業時間で測られ、昇給も賞与も退職金もないなど格差が大きい。 また、企業内でのキャリアアップ支援や能力開発への配慮が少ない。 なかには、法を無視した劣悪な労働環境下で健康管理も、適正な賃金も支払わず、いやなら辞めてくれ式の、いわゆるブラック企業もある。 さらに、非正規従業員のうち4分の3が有期契約労働者だ。 1年間、2年間の契約期間が満了すれば自動的に退職させることができるから雇用が不安定で、従業員たちには、契約期間後の生活不安がいつもつきまとう。 つまり企業側にとっては、人手不足になると雇い入れ、人手が余ると解雇しやすい便利な労働者、「雇用の調整弁」 なのだ。 もっとも中には、非正規従業員を希望して従事している人たちもいるにはいる。 前記、労働力調査によると、非正規従業員に就いた主な理由として、「自分の都合のよい時間に働きたいから」(男性20.3%、女性25.0%)、「家計の補助・学費などを得たいから」(男性11.9%、女性27.5%)など、この形態の就業を希望する向きもある。 しかし、「正規の職員・従業員の仕事がないから」 から仕方なく非正規従業員になった男性が30.7%、女性が14.5%おり、男性従業員168万人のうち、転職等の希望者が87万人と過半数を占めている。 正規、非正規従業員の差が生じるのは、個人能力差の問題ではない。 たとえば、水月昭道氏は 「大学院博士課程を修了した人たちの就職率はおおむね50%程度」 「定職につけないフリーター博士や博士候補が、毎年5千名ほど追加され続けている」 という(「高学歴ワーキングプア」 光文社新書)。 なるほど平成23年度学校基本調査には、博士課程修了者の就職率は、工学系は就職者71.2%と高い就職率だが、人文科学系では 「就職者」 が32.9%で、就職とはいえないような 「一時的な仕事に就いた者」 と 「進学も就職もしていない者」が42.1%、そのたが25.1%と,学部卒とは雲泥の差がある。 能力があり、長年、専門領域で育てられてきた青年たちが、その能力、技術を生かせず、生きるのに仕方なく、だれでもできる臨時の仕事に就いているのだ。 次に完全失業者に注目する。 「労働力調査」 によると、今年4~6月の完全失業者は277万人だが、そのうち、前職が正規従業員だったのが50万人、非正規従業員(うち、パート・アルバイト33万人。派遣社員8万人など)だったものが56万人と、不安定な仕事に就いていた。 完全失業者277万人のうち、仕事に就けない理由が 「希望する職種・内容の仕事がない」 との回答が84万人と最も多く、次いで 「求人の年齢と自分の年齢とはあわない」 の41万人、「勤務時間・休日などが希望とあわない」 の32万人の順。 また、「条件にこだわらないが仕事がない」 との回答者も24万人いる. また、完全失業期間が1年以上と回答した者が104万人(38.7%)いる。 不就業者のうち、就業を希望しながら求職活動をしていない人には、出産・育児、介護・看護、健康上の理由などをあげた人が263万人(男性61万人、女性202万人)いるけれども、近くに仕事場がありそうにない、自分の知識、能力にあう仕事がない、勤務時間・賃金などで希望にあう仕事がないなど自分に適当な仕事がありそうにないことを理由とする人が145万人いる。 また、就業自体を希望しない人のうちには、65歳以上の高齢者が62%を占めているが、65歳未満の人が1506万人もおり、これらの人々は、もはや求職活動に疲れた人たちではなかろうか。 これまで非正規従業員と完全失業者の実態のを統計上で見てきたが、一流企業の正規従業員との落差は、収入面だけでなく、生き甲斐、喜び、希望、学習意欲面でも大きいのだ。 以前から、特に、25~34歳の若年層の自殺が失業と非正規雇用と関係深いことが指摘されてきた。 フリーター、ニート、ワーキングプアたちを生み出さない労働者人権優先の雇用対策が強く求められる。
by dankkochiku
| 2013-09-22 23:59
| 時評
|
Comments(4)
Commented
by
tomahawk_attack at 2013-09-23 21:53
国内企業もグローバルな環境下で活かせる人材の確保に向かってますし、TPPへの加盟が現実のものとなれば、いずれ海外からの安い労働者の増加は避けられない流れでありますから、グローバルな環境下では先進国の労働市場には不利です。。
その分、日本人も海外に活路を求めて働きに出れば良いのでしょうが・・・・ それは「一部の職種だよ」と言われるかもしれませんが、昔から「アリの一穴、堤を壊す」の例えの如くでして、小さきことと暗に油断していると、日本人にとって大切な就職環境が悪化する可能性がありますね。。 TPP加盟は決して「バラ色の話」ばかりじゃないですからねぇ。何を得るために何を捨てることになるのかも含めて、一切合切すべてをオープンにした上で、慎重が上にも慎重に議論を進めて欲しいものです。。\_(-_- 彡
0
Commented
by
dankkochiku at 2013-09-24 09:47
tomahawk_attack さん グローバル経済進行の現代、TPP加盟は決してバラ色の話ばかりじゃないですが、かといって、今更、一国の国益擁護のための攘夷論はなかなか通用しないでしょう。
Commented
by
cocomerita at 2013-09-30 03:47
Ciao dankkochikuさん
貧富の差は悲しいですね 生まれた時からある環境にいる人たちは、比較的容易に貧富の貧富をさけてとおれるけど、生まれつき、ちょっと貧よりの家庭の子達は、子供の頃から、それと向かい合い、当然親のもってるコネとか、援助とかは当てに出来づらいだろうから、なんか自動的に将来住む環境もきまりがち こういうの運命何て呼びたくないけど、一体なんなんだろう と考えます 多少の差はいいけれどもうちょっと緩和できないものですかね?
Commented
by
dankkochiku at 2013-10-01 11:22
Ciao cocomerita さん 年功序列、終身雇用、完全失業者100万人以下、国民総中流意識といわれたベルエポックはバブル経済崩壊とともに消えました。 貧富格差を埋めようと社会保障制度の充実を進めてきたものの、今度は少子高齢化社会が進み、その財源も危なくなり、年金減額、高齢者医療・介護負担費増加と、老若世代共々、前途多難です。
|
ファン申請 |
||